引越屋はミタ #003 ~現場スタッフ編~
ミタシリーズも3回目となりました。今回は、元現場スタッフにお話を聞いてみました。お話を聞くのは、第1回目でも登場して頂いた、匿名さんです。営業マン歴8年とは別に、現場も2年経験されているそうで、10年以上引越し業界で働く、スペシャリストですね。
お名前:匿名さん
年齢:30代
性別:男性
引越し会社名:秘密(東京の引越し会社)
引越し現場歴:2年
引越し現場件数:1,000件
今回は、現場スタッフの際のお話ですが、現場スタッフの中にも、社員やリーダーやバイトなど、役割が分かれていますよね?その中の、どの部分を担当していましたか?
そうですね。社員や、バイトというくくりではなく、経験値によって役割分担していました。
私の所属していた会社では、【部屋中】【中持ち】【積み】という名称で役割分担していました。
はい。
【部屋中】は、その名の通り、お部屋の中でお客様対応、荷物の梱包、台車の上に荷物を安定して積む。といった業務なります。個人的にはお客様とのコミュニケーションのセンスが重要なポジションだと思います。
なるほど、では、【部屋中】担当の人は、お客様が直接やり取りをする引越し会社側の人ということですね。となると、この方の印象=引越し会社の印象になるので、かなり重要なポジションですね。
【中持ち】は、そうなると、お部屋からトラックまでを運ぶ人でしょうか?
その通りです。新人はここからスタートします。かなり体力が必要なポジションで、みんな一番嫌がります(笑)
そうでしょうね(笑)。となると、最後の【積み】は、トラックへの積み込みということですね。
はい、そうです。荷崩れしないように、積み込む必要があるので、個人の力量が出やすいポジションです。荷物が満載のときは、特に手腕が問われ、上級者の積みは美しいです。
ありますよ。家具や小物がバラバラな大きさ、形状なのに、上級者の【積み】が終わると、面がそろっているのです。
そうです。基本的には【部屋中】【積み】が強いスタッフだと、引越しはスムーズに終わります。
困ったお話
引越しの作業を行う中で、困った経験や、お客様はいらっしゃいますか?
困ったというか、辛かったのは、お引越先が長野県の山の上の一軒家で、トラックを停めた場所から家までが山道200mの登り坂でした・・・。
荷物を持ったまま、山道を何度も往復・・・もう二度とやりたくない!と思ってしまうきつい現場でしたね。
困ったお客様は、気を遣ってくださったのが逆に困る結果になったケースですが、ご夫婦のお引越だったのですが、それぞれのご両親・兄妹・友達・後輩などご夫婦以外に合計8名のお手伝いの方々が来られたことです。
荷物の多いお引越だったので僕たちスタッフも4名で作業をしており、新居には大人が総勢12名!
荷物を搬入したくても、お母さんが座って荷解きをしていたり、廊下を通るのもご友人とすれ違うのが大変だったりで時間がとてもかかりました。
嬉しかったお話
非常に大変でしたが、結果的にとても嬉しかった引越があります。
大型の冷蔵庫を一戸建ての二階へ搬入しなければならなかったのですが階段の幅と、冷蔵庫(毛布で梱包済み)の幅がほぼピッタリ!
わずか数ミリの隙間しかなく、到底運ぶことが出来ないと思いました。お客様へ「これは階段では運べません。クレーンの方が良いです」とお伝えしましたが「絶対に通る!」とおっしゃるばかり。何度も説得しましたが聞き入れてもらえませんでした。
「精一杯頑張ってみますが、絶対に壁か冷蔵庫の傷が付きますよ」と断った上で、私ともう一名のスタッフで時間をかけてチャレンジしました。
結果、やっぱりほんの少しですが壁に傷がついてしまいましたがお客様は大喜びで、「本当にありがとう!」と結構な金額のご祝儀まで頂いてしまいました。
ちなみに、結構な金額とはいくらでしょうか?(笑)
えーっと、忘れました(笑)もう一つは、思った以上に簡単なお引越だったときですね。
元々、お見積の段階では2t分のお荷物量だったのですが、引越当日に行ってみると紙袋ひとつと布団一組だけになっていました。
他の荷物はお客様が処分したりお友達に上げてしまったそうです。この日3件目のお引越で、心身共にクタクタに疲れていたので、お客様に感謝したいお引越でした。
印象に残っている話
引越先が高層マンション、家具がアメリカンサイズのお引越で大型のソファーがどうしても廊下を通らず、27階のベランダから運ぶことに。
とても狭いベランダをスタッフ2名が大型ソファーを持ち上げて渡る…、下から見れば空中にソファーが浮いている状態だったと思います。
もし、強風などが吹いて一歩間違えば大惨事になる荷物の運搬でした。本来ならば、こんな作業は危険すぎるのでやってはいけないんですけどね(笑)。