引越し時、あなたのお家を守るのはこんな達人のテクニック! ~引越しプロの技・養生編~
こんにちは。引越ラクっとナビサポートセンター オペレーターの山口です。
個人的には約2か月ぶりの執筆となりますが、最近はもっぱら映像関係の編集を担当していますので、動画付きの記事にはすべて関わらせてもらっています。
今回は、動画から記事まで僕が担当しますので、どうかお付き合いください!
さて、皆さんは「養生」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?
以前、こちらの記事で説明をさせていただいた、引越用語の一つです。
引っ越しでは主に、荷物を運ぶ際に、建物内の壁や床などに傷がつかないようカバーすることを指します。青いプラスチックの衝立のようなものが壁に貼られているのを、見たことがある方もいらっしゃるかもしれません。
今回は、
・そもそも「養生」って何のためにするの?
・「養生」って実際どんなことするの?
・「養生」するのとしないのとでは、何が違うの?
といった疑問にお答えしていきたいと思います。
引っ越しで養生をする目的とは?
引っ越し時には必ずと言っていいほど行われる養生ですが、その最大の目的は、原状回復・修繕費用の発生を防ぐことです。
ご存知のように、賃貸物件では退去時に原状を回復することが契約で定められています。部屋を明け渡す際に、生活をしている中でついた傷や汚れだけでなく、引っ越し作業時の傷や汚れなどもすべて、借主の責任で元の状態に戻す必要があります。
引っ越し時にはベッドやタンス、冷蔵庫や洗濯機などの大型荷物を室内で移動させるため、壁や床にこすったり、ぶつけたりして傷や汚れがつきやすくなります。
当然、大きな傷や汚れが増えれば原状回復や修繕の費用も余計にかかりますので、これを防ぐのが養生の主な役割になります。
また、マンションなどを購入したり賃貸する際の契約条件に、荷物の搬出入時に共用部分を養生するように決められている場合もあります。
特に高層マンションなどの引っ越し作業は台車を使用する事が多く、その場合は台車が通過する通路床面やエレベーターホール、内部の壁や床など、原状回復に時間がかかる箇所に傷が付かないように養生する事が求められるケースが多いようです。引っ越しの際には、事前に契約内容を確認してみてください。
プロの技を見てみる
ここでプロの養生作業を、実際に動画でご覧いただきたいと思います。作業担当は、元:引越作業員で、今は弊社で『引っ越しラクっとコンシェルジュ』として引っ越しの訪問見積を担当している(編注:2017年12月時点)清水さんです。
※資材提供:グロリアス・ムービング
いかがでしたか?
要所で、細やかな気配りがされていましたね!
ここでポイントをおさえていくと、まずは、養生材を固定する際の【テープを貼る位置】です。
壁紙部分を避けたり、金属部分に貼るなど、剥がした際に跡が残らないよう工夫がなされています。
またプロの業者はこうした作業時にガムテープのかわりに、粘着力が比較的弱い「養生テープ」というものを使います。ガムテープは粘着力が強すぎるため、いざ剥がすときに家具や建物を傷つけてしまったり、ベタベタが残ってしまったりする可能性があるからです。
運搬中に家具の引き出しなどが開いてしまわないようにテープで留める時などにも使えますので、引っ越しの際にはご自身でも1つ用意しておくと便利しておくかもしれません。
もう一つのポイントは、壁を養生する際の工夫です。
荷物を運ぶ際、台車を使って作業をする場合があります。その時に、養生資材に引っかかってしまうと、物を落としてしまったり、作業の妨げになってしまいます。 そうならないように、進行方向に合わせてつながり部分の重ね順(ひだの向き)を変えています。
今回は『搬出』(荷物を出すため、事務所⇒エレベーター方向へ向かっての作業)をイメージして作業してもらいましたので、写真のような向きになっています。
なお、引っ越しの養生に使用される布や板は、引っ越し業者によって専用の資材が用意されています。
たとえば、上記の動画にも登場するプラスチックパネルは、硬さがあり、とがった角などに当たっても傷が下まで影響しません。玄関や各部屋の出入り口、壁、柱や曲がり角のぶつかりやすい部分をガードしてくれます。エレベーターやマンションの共有部分にも使われます。
床や階段、廊下では、プラスチックよりも滑りにくい綿の入った布製のマット(キルティングパッド)が用いられます。階段用に使われる滑り止めがついているマットもあり、衝撃を吸収してくれます。
ダンボールの摩擦から守ってくれるフロアシートは、床に傷がつくのを防ぎます。主にダンボールを置く場所にシートを敷きますが、荷物を一旦置く際の仮置き場には硬めのシートを使います。
引っ越しスタッフの方々は、こうした資材を適材適所で使い分けているわけですが、一方で十分な養生をしていなかった場合、どのようなリスクがあるのでしょうか。ダンボールと弊社オフィス内の壁を使って実験をしてみました。
養生の効果って?
「養生されている場合」と「養生されていない場合」で見比べてみてください。
一目瞭然ですね。
このような黒い傷(汚れ)がついてしまいます。
今回はこすったのがダンボールだったので、メラミンスポンジでごしごしとこすって落とすことができました。 しかし、これが段ボールではなく、もっと鋭利なものや硬いものだった場合、傷や凹みになってしまいます。
自分で引っ越しをする時も養生は必要?
引っ越しをご自身で済ませようとされている方に中には、荷物が少ないから大丈夫だろうと、引っ越しの養生をしないという考えの方もいらっしゃると思いますが、大型の荷物が壁にぶつかり、壁だけではなく自分の荷物にも傷がついてしまったら、結局修理費が高くついてしまう可能性がありますので、最低限でもホームセンターや近所のコンビニエンスストアなどで古ダンボールを調達して玄関やドア周りに設置したり、廊下などの床に傷がつかないよう、毛布を敷いたりすることをお勧めします。
ちなみに、引っ越し業者に作業を依頼する際、基本的な養生であれば無料で行なってくれるところも増えてきました。
そのような業者の場合、ダンボールやガムテームなどの梱包資材も無料で提供してくれる可能性が高いので、トータルで見ると引っ越し費用の節約につながる可能性があります。一度弊社サービス「引っ越しラクっとNAVI」などで複数社から見積もりを取ってみて、ご自身で作業をする際の費用感と比べてみるのもよいかもしれません。
まとめ:養生作業の役割
さて、今回は一般的にはあまり知られていない養生作業についてお送りしました。
ちなみに動画で作業を担当していただいた清水さんはこんな人です↓
<清水さんのプロフィール>
名前:清水 仁志(シミズ ヒトシ)
趣味:お酒
特技:サッカー<コンシェルジュ情報>
訪問実績:500件
ポリシー:引っ越しの『わからない』を解決します!
担当エリア:東京都西部・多摩地方
余談ですが、壁や床に関わらず、家具や家電などについても、引っ越し作業の前に現状写真をとっておくといいですよ!破損や故障の際、証拠の一つになりますからね。
それでは、本日もご依頼お待ちしております!ご精読ありがとうございました。