冷蔵庫の中身も運んじゃう?シニアならではの引越し事情
前回に続いて、ハート引越センターの村山さんと安部さんにお話をおうかがいします。今回は、シニア向けの引越しで気をつけるポイントです。
シニア向け引越しのポイント
横川 料金が変わらずに、シニア向けにサービスを強化されていますが、シニア向けだからこその注意すべきポイントはありますか?
村山 そうですね。本当に細かいとこかもしれませんが、この行動チェックリストをみてください。ここには、入居先の施設での作業スタッフの決まり事や、サポートレディの引越し元での立ち振る舞い、お客様へ移動の際のチェックリストを、弊社オリジナルで作っています。
(作業スタッフ用)
横川 引越しのピクトグラムですね!
村山 はい、例えば通常のお引越しと違うところですと、入居先の施設には他のシニアの方々がたくさんいらっしゃいます。足元が不自由な方もいらっしゃいますので、廊下に台車を出しっ放しにしない。ご家財も当然も置きっぱなしにしないというルールがあります。
例えば、足元が不自由な方は、ちょっとしたことでも、つまづいてしまいます。ですので、特に注意しよう。ということで、このようなピクトグラムを用意して、作業スタッフに注意喚起を促しています。
(サポートレディ用)
横川 このサポートレディの12時〜13時の休憩は昼食ということですよね?引越し中に、昼食タイムを作るのは珍しいですよね?
安部 はい、お客様のお身体を最優先に考えています。引越しの日に生活リズムが崩れて、そのまま体調不良にならないように、極力、生活リズムを崩さないように、また休憩を入れることで、お客様の体調を整えることができるので、必ず昼食休憩を入れるようにしています。
横川 そこまで、お客様のことを考えて引越しされるんですね!
安部 はい、引越しはやはりストレスがかかるものです。お若い方なら、体力があります。ですがご高齢の方はストレスがかかると、お身体に異変が起きやすいので、引越し中は少しでもストレスや不安を減らして、体調を整えて新生活を迎えることができるように、このようなルールになっています。
村山 他にも、サポートレディのチェックリストで、お客様の正面・近くというルールがあります。やはり、ご高齢の方は耳が遠くなったり、目が悪くなったりします。後ろから声をかけても、気付きにくかったりしますし、なにより後ろに振り向かせることを、我々がしてはいけないと考えています。ですので、我々がお客様の正面・近くに寄り添って、荷物の要る要らないの判断をあおいだり、するべきなのです。
(お客様用)
横川 素晴らしいですね!自分の親も、将来はお願いします。(笑)
村山 はい、お願いします(笑)
シニアの引越しのあるあるネタ
横川 今度は、これまでに対応されたお客様で、シニアならではといったお話はありますか?
村山 誰というわけではないのですが、かなり多くの皆さんがおっしゃるのが、「冷蔵庫の中身も運んで欲しい」ということなのです。
横川 ええええ!?通常は、冷蔵庫の中身は運んでもらえませんよね?前日までに中身を無くして、コンセントを抜いて冷凍庫の氷を溶かしておくのが一般的ですよね?
村山 よくご存知ですね(笑)その通りです。ですが、ご高齢の方は戦後の食糧難の時代を過ごされているからか、食料を廃棄することにかなりの罪悪感を持たれています。ですので、中身もそのまま持っていって欲しいと。
横川 持っていくのですか?
村山 クーラーボックスを持参します。2個くらいで収まることが多いのですが、クーラーボックス5個も必要だったお客様もいらっしゃいました。
横川 すごいですね。そういう方は、賞味期限が切れていても食べちゃいそうですね(笑)
村山 笑い事じゃなくて、多いんです。つい最近も、賞味期限が2009年のものを捨てないでと言われました。
横川 それは、どうするんですか?
村山 適切に処分させていただくようご説明をさせていただいた上で、最終的には、お客様の判断を優先させます。
横川 持っていくんですね(笑)
村山 あとは、シニアの方は、一般の方に比べても、ちょっとしたことでもお電話される方が多いのです。これは、私たちの特徴でもありますが、シニアの引越しについては、窓口を一本化していますので、たらい回しにされることなく、営業へ繋がります。中には夜中の3時に電話が入ったこともあります。
横川 毎回、処分するものが発生すると思うのですが、どのあたりから手をつけるのでしょうか?
村山 これは結構決まっていて、女性の場合は衣服です。男性の場合は、趣味のアイテムですね。ご夫婦で引越しされる場合は、これが原因で対決されることもあります(笑)
横川 どっちが勝つのでしょうか?(笑)
村山 そんなときは、生活に必要なものを残しましょうと提案します。例えば、ソファが気に入っていても、イスとテーブルがメインの生活になるのであればソファは処分しましょうと言います。食器などもたくさんあっても使わないものが多いので使う分だけ持っていくように提案します。
横川 なるほど、素晴らしい解決方法ですね。
村山 ご家族がいる場合は、あたまごなしに「捨てて!」といわれている方が多いです。ご家族の捨てて攻撃を受けているので、私たちが持って行けますよと言ってあげることで、ストレスや不安を緩和してあげることもできます。
引越しの期間はどのくらい?
横川 シニアのお引越しは、準備から提案しながらの梱包をして、処分品の選定をして、実際の引越しをしてと、かなり長期にわたって対応されているイメージがありますが、実際にはどのくらいでしょうか?
村山 そうですね。シニアの場合は思い立ってから2ヶ月くらい。そのうち、私たちとのお付き合いが、1ヶ月くらいが一般的かと思います。シニア向けフルサポートプランの場合はその間に、6回くらいお会いしますので、結構親密になります。親密になればなるほど、ミスはゆるされないので私たちも毎回緊張して対応させていただくことが多いです。
横川 サポートレディのみなさんは、どんなスケジュールでしょうか?
安部 私たちは引越しの1、2週間前から動きます。お客様が準備ができているかどうかを確認しながら、前日に梱包作業を行いますので、実稼働でいうと3、4日です。また、シニアの方々は体力的にも、それ以上の日数を要すると、難しいと思います。
横川 なるほど。本日はありがとうございました。
最後にまとめます
ハート引越センターさんのシニア向けお引越しサポートでは、サポートレディさんがお客様の引越しに関する一歩踏み込んだお手伝いをされるサービスということがわかりました。
営業さんは、見積もりだけでなく、希望があれば引越し当日の立会いなど、一般では考えられないほどのサポート体制です。冷蔵庫の中身を運んでくれるなんて、初めて聞きました。引越し用のピクトグラムを用意するなど、引越しスタッフを含めた、サービス全体のレベルの底上げの仕組みを作られていることがわかります。
またこのシニア向けお引越しサポートの特徴でもあるサポートレディの方々は、収納アドバイザーの宮城先生の実地研修を受けるなど、スキルアップに余念がないようです。また実際のお引越しでは、お客様の言われたことだけを対応するのではなく、お引越しが恙無く完了できるように、一歩踏み込んだ提案をしながら、引越しを進めるサービスということで、シニア向けならではの細やかなサービスだと思いました。
もし、施設に入る予定の親御さんがいらっしゃれば、オススメしてみてはいかがでしょうか?
ハート引越センターの、村山さん、安部さん、ありがとうございました。
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