空き家問題をゲストハウスに利用する京都の取り組みと、他の地域での取り組み案について考えてみた
昨日のエントリーは、カンカンに晴れた日曜日ともあって、全然読まれませんでしたが(笑)、その流れで京都の取り組みをご紹介したいと思います。
長屋をゲストハウスとして活用
京都新聞社さんより、「築1000年以上の十軒長屋、ゲストハウスに変身」
市内で姿を消しつつある町家を活用し、町並みを守ろうと、山中油店が企画した。十軒長屋は明治40年代に建てられ、最近まで借家として使っていた。昨年9月から、10棟のうち3棟をそれぞれ趣の異なる宿泊施設に改修した。
賃貸だった長屋を宿泊施設に改修したとのことです。いいですね〜外国人にとっては日本らしさというか、京都らしさを感じることができるのではないでしょうか?
(山中油店オフィシャルサイトより)
この記事のゲストハウスのサイトを見てみると、なんと8月は31日中、20日がすでに満室!すごい!まあ、夏休みということもあると思いますが、自分も京都へ遊びに行く際は長屋で泊まるのもいいと思いますね!
料金は、失礼かもしれませんが、意外といい値段です。1室8名まで泊まれるので、人数が多い場合はホテルよりこっちの方がいいですね。
(山中油店オフィシャルサイトより)
また、京都新聞の別の記事では、こんな魅力も
ゲストハウスを外国人との交流の場として活用
京都新聞社さんより「出会い新鮮、ゲストハウス魅力 京都観光の外国人や若者」
(リンク先の京都新聞社サイトより拝借)
深夜のリビングルームは英語やハンガリー語も飛び交う不思議な雰囲気。ハンガリーの学生チャバ・ローラーさん(23)や栃木県の大学に通う豊田祥子さん(21)は「互いにいろいろ話せ、地域や観光スポットの情報を気軽に交換できる」と満足そう。
意外な利用法も。東京から出張中の会社員男性(27)は「定額の宿泊費が支給され、安価な宿に泊まれば差額が浮く」と、ちょっとうれしそうに話した。
ゲストハウスは海外の旅行客が多いので、外国人目当てで宿泊するケースもあるとのこと。いいですよね!また、ビジネスマンが値段を目当てに宿泊するケースなんて、ちょっと世知辛いですけど、前向きに外国人との会話で緊張しないために、慣れにきています。って言えばいいのに(笑)って思っちゃいました。
前のエントリーでもありますが、ホテルや旅館のかわりに、ゲストハウスのような簡易宿所が増えています。ホテルや旅館よりも、初期費用が少なくて済むのと、簡易宿所であれば、たくさんのスタッフを雇わなくとも家族経営で成り立つので、今後も増えていきそうですね。
いいことだけじゃない
と、空き家対策で長屋を宿泊施設にした良い例を書きましたが、良いことばかりでもありません。嫌な部分もみなきゃね。
さらに同じく、京都新聞社さんの記事です。
「ゲストハウス人気、男女トラブルも 宿泊所不足の京都で増加」
(リンク先の京都新聞社サイトより拝借)
一方で、施設の特性からトラブルも出ている。京都市内のあるゲストハウスでは、男女混合の相部屋に宿泊した20代の男性が、初対面の20代の女性を触り、警察に通報したケースもあったという。全国には「恋愛できる確率60%」と雑誌に紹介される施設もあり、勘違いを招く恐れがある。市内の別のオーナーは「見知らぬ男女を一緒に泊まらせるのは抵抗がある」と、男女混合の相部屋は設けていない。
上記の例だと、相部屋を避けるという解決策がありますが、この辺を徹底していくしかないかもしれませんね。
また、別の問題も指摘されています。
さらに、旅館業の営業許可を得ていない「ゲストハウス」もある。賃貸マンションの借り手が部屋をゲストハウスと称して許可なく「また貸し」し、大家とトラブルになるケースもある。下京区のある不動産会社は、こうしたケースで今年、4件の退去勧告を出した。ゲストハウスのホームページでは予約時に営業許可の有無が分からないケースもある。不正に憤る担当者は「まっとうに営業している施設が客を取られるなど悪影響を受けることになる」と指摘する。
無許可のゲストハウス問題ですね。でも、これ思うのですが、やったもん勝ちの世の中になっていることが問題だと思うので、無許可で営業した場合は、懲役20年とか、あまりに厳しい懲罰を設けることで、ある程度減らせないものでしょうか?
また、規制を強化する方向はやめてほしいですよね。規制強化で簡易宿所の数が減ったり横ばいだと、ホテルや旅館で受けきれない分の受け皿がなくなってしまいます。正規の手続きを踏まないと圧倒的に損をするような方向が良いのではないかと思います。
京都はロケーションがいいからじゃない?
と、ここまで京都の事例を見てきましたが、そもそも京都は観光地であり、外国人客も多く、長屋というアンティークがあるからこそ、できる取り組みでしょ?それ以外の地域だと、無理じゃない?という感想も持ったかもしれませんね。
確かに、京都は外国人観光客も多く、古いことが武器になる地域だと思います。であれば、別の地域は別の武器をもって戦えば良いのではないでしょうか?
例えば、東京の郊外に乱立された、公団住宅。すでに空き家だらけで、単身の高齢者しかいないコミュニティーだったりします。かなり問題ですよね?京都のような長屋ではなく、鉄筋コンクリートの味気ない建物です。エレベーターもありません。
この東京郊外の公団住宅の魅力は、「東京へ通うことができる範囲で、それなりの価格でマイホームを持つことができた。」という当時の日本人以外には魅力を生まない環境だったりします。だから、今現在は若者が住まず高齢者の住まいになっているわけです。
では、この公団住宅をどうやって、簡易宿所として使えるでしょうか?それは、企画力だと思います。例えば、近くの農地と提携し、農業体験を行える施設にすると、夏休みの間、遠くは嫌だけど、ちょっと離れた郊外で子供に農業体験を経験させたいという保護者はいそうじゃありませんか?
また、宿泊施設は、長屋のようなクラッシックな環境や、ホテルのような今風の感じの両極端しかないのは、変じゃないでしょうか?それこそ、昭和40年代をテーマにした簡易宿所にしてみる。茶の間にはちゃぶ台、テレビはダイヤル式、電灯は紐で引っ張る方式。全自動じゃない、洗濯機も設置して、当時の日本の一般家庭を再現したお部屋。なんて作ってみると、「お父さんが小さい頃はこんな生活だったんだよ。」といった会話が生まれそうじゃないでしょうか?
中途半端な古さをそのまま活かして、中途半端な古さに興味のある人がいてくれれば、一つのモデルになるのではないかと思ったりするわけです。リノベーション費用も、それほどかからないのではないでしょうか?まあ、あくまで妄想の域は出ませんが、まだまだ、空き家対策はこれからですよ!
いやー二日連続で社会問題を取り上げるなんて、このブログも社会派になりつつあるのかな?なんて思います(笑)ちきりんさんにインスパイアされたこの二日間でした。