離婚による引っ越し時の費用はどちらが負担?気になる点をまとめて解説

離婚時の引っ越し費用はどちらが負担?気になる点をまとめて解説

離婚をすると、当事者双方、あるいはいずれかに引っ越しの必要性が生じます。それなりの金額が必要になる引っ越しですが、相手に離婚原因がある場合は、引っ越しにかかる費用は請求できるのでしょうか?

今回の記事ではまず、離婚に伴う引っ越しをする場合に必要な諸費用の内訳を改めておさらいするとともに、それらの支払について、離婚時の分担について法律ではどう決められているのか、詳しく見ていきたいと思います。

そして最後に、引っ越し費用を出来る限り安く抑える方法についても解説をさせていただきますので、ぜひ最後までお付き合いください。

離婚で引っ越しが決定。必要な費用はどれくらい?

離婚でなにかと物入りな時に、引っ越しにかかる費用がどれくらいになるかは気になるところです。実家に戻るといったケース以外は、旧居並びに新居に係る諸費用や、引っ越し費用(引っ越し会社に支払う費用)、さらに場合によっては慰謝料や財産分与のための費用

などがかかってきます。どんなものがあるか改めて確認してみましょう。

引っ越し時の費用一例

  • 敷金:家賃の1~2か月分
  • 礼金:家賃の1~2か月分
  • 入居日の日割り家賃:家賃÷月の日数×入居日数
  • 前払い分の家賃:家賃1か月分
  • 仲介手数料:家賃の0.5~1ヵ月分
  • 鍵の交換代:20,000円~30,000円程度
  • 火災保険料:2年契約で2~3万円
  • 旧居の原状回復費用(敷金内で収まらなかった場合)
  • 引っ越し費用

敷金、礼金はそれぞれ家賃の1ヵ月~2ヵ月分に設定されることが多く、家賃の前払い分として1か月分、仲介手数料は家賃の0.5ヵ月~1ヵ月分、鍵の交換が15,000円~20,000円程度が相場です。

火災保険料は、契約の時に案内される火災保険ではなく、自分で選ぶ場合などは年間4,000円程度からあります。

加えて、離婚の当事者がいずれも旧居を離れる場合は、賃貸契約に基づいて原状回復費用が発生します。入居時に敷金を支払っていれば、まずはそこから差し引かれますが、大規模な工事が入る場合などは追加で支払いが発生する可能性もあります。原状回復の仕組みについては、下記記事もご参照ください。

原状回復はどこまでするべき?賃貸物件の退去時における敷金精算のポイント

また、新しく入居する物件によっては次のようなものが含まれることも。

  • 消毒費用:1.5~2万円
  • 保証会社加入費用:1~2年契約で家賃の0.5~1ヵ月分
  • 24時間サポートサービス:2年契約で1.5~2万円

消毒費は害虫駆除など、入居前におこなう部屋の消毒にかかる費用。24時間サポートサービスは、24時間電話で緊急対応してくれるサポートサービスの利用料で、呼び名は会社によって異なります。

また保証人などがいない場合は、保証人代行サービスなどを利用する必要があり、その場合家賃の50%~100%が相場になるようです。

もし仮に家賃10万円の賃貸物件に月の中間日(15日など)から入居した場合、敷金から火災保険料までのメイン7項目を積み合わせると安い場合で44万円、高く見積もると71万円となります。

  • 敷金:10~20万円
  • 礼金:10~20万円
  • 入居日の日割り家賃:家賃÷月の日数×入居日数
  • 前払い分の家賃:10万円
  • 仲介手数料:5万~10万円
  • 鍵の交換代:2万円~3万円
  • 火災保険料:2年契約で2万円~3万円

またそれ以外にも現状回復費や各種オプション料金、引っ越し料金などが発生しますので、かなりのまとまった金額が必要になります。

離婚時に発生する可能性のある支払い

加えて離婚時には、状況によっては以下のように慰謝料や財産分与、養育費などの支払いが発生する可能性もあります。

これらの金額を決める方法について、一般的にまずは夫婦の話し合いになりますが、もし話し合いだけでは解決しない場合は、離婚成立に向けた家庭裁判所の調停、裁判で慰謝料請求する方法があります。なお、離婚の成立後にも慰謝料請求は可能です。

慰謝料

離婚した場合には慰謝料が発生します。慰謝料は、離婚原因を作った側が謝罪の意味を込めて相手に支払う費用です。ですので、仮に離婚の理由が夫側の浮気だった場合、妻は夫に慰謝料を請求することができます。また、妻の方に原因があればその逆となります。

財産分与

財産分与とは、夫婦が結婚生活中で築いた財産を、分配することです。たとえば、いま住んでいる家が持ち家だった場合は、家の価値を金額に換算して夫と妻で分けることになります。その他にも家具や家電など、夫婦で生活をしていた中で得たものであれば、同様に分けることができます。

養育費

子どもがいる場合は、その子どもを育てるのに必要な金額を離婚後も相手に支払う費用として、養育費が発生します。仮に親権を妻が持った場合、妻は夫に毎月定期的に(あるいは一括で)養育に必要な金額を支払ってもらうことができます。支払う金額は一般的には話し合いとなりますが、多くの場合家庭裁判所の養育費・婚姻費用算定表が参考とされます。

参考:養育費・婚姻費用算定表(東京家庭裁判所)

こうした離婚にまつわる支払いの詳細についてお悩みがある場合、弁護士等への相談が必要となりますが、まずは国が設立した法的トラブル解決の総合案内所である「法テラス」に、無料で問い合わせてみてもよいかもしれません。

夫婦・男女|法テラス

離婚による引越し費用はどちらが負担する?

それでは肝心の、離婚による引っ越し費用について、夫と妻のどちらが負担するのかについてご説明します。期待を裏切るようですが、実は離婚時の引っ越し費用に関しては、どちらか一方が支払わなければいけない、といった法的根拠は定められていません。

そのため、たとえ相手に離婚の原因があったとしても、離婚による別居のための引っ越し費用は、すべて自己負担となってしまうのです。こちらについては複数の弁護士事務所の見解などもあわせてご参照ください。

離婚で生じた引っ越しなどの費用はどちらが持つべき? | 法律事務所・弁護士への相談ならLegalus

離婚による引っ越し手続きの流れ|適切なタイミングや注意点を解説(ベリーベスト法律事務所)

離婚を考えていますが、専業主婦なので離婚後の生活が不安です。引っ越し代や当面の生活費などを相手に支払ってもらうことはできますか? | Q&A | 弁護士が教える パーフェクト離婚ガイド

例えば夫側に離婚の原因となった問題があった場合でも、妻がいま住んでいる家から引越しするための費用は、妻自身が負担するというのが法的解釈となっています。つまり、夫側に過失があった場合でも、妻の引っ越し費用を出す義務がないということになるのです。

法律の解釈としては、別居をしたいのは本人の意思なので、引っ越し費用は引っ越したい人が払うもの…というわけ。心情的には、ちょっと納得いかないですよね…。

離婚による引越し費用を請求することは可能?

しかし、離婚の原因が自分にはないのに引っ越し費用がすべて自己負担ということに対して納得がいかない方も多いでしょう。そういった場合は、話し合いを通して、相手に払ってもらうようにする必要があります。

たとえば、離婚の条件に「妻が別居する際の引っ越し費用は夫が負担する」といったような条件を付け足してみたり、慰謝料に引っ越し費用を上乗せして請求するなどの方法もあります。

いずれにせよ、夫婦間で引っ越し費用に関しての同意がない場合は、すべて自己負担となってしまうのでまずは話し合いをしっかりと行うことが大切です。

離婚をすることになった原因が全て相手にある場合は、離婚後の生活基盤を築くために必要な経費ということで、相手に引っ越し費用を負担してもらえるようにしっかりと話し合ってみてください。

そして仮に調停委員や裁判官を交えて話し合いをすることになった場合は、事前の準備をしっかりと行うことが大切です。なぜ引っ越しが必要なのかと言った論点をしっかりまとめ、相手や第三者がきちんと納得できるような理由を準備しておくことで言い分が認められる確率が上がります。

何の根拠もなく「100万円必要」だと主張するよりも、引っ越しにかかる必要経費や新生活に必要な費用をしっかり調べて「100万円必要」と主張した方が認められる確率が高いはずです。

ですので、離婚や引越しの手続きでスケジュール的に大変かもしれませんが、余裕を持ったスケジュールを組み、しっかり事前に準備しておくことが大切です。

離婚による引っ越し時の費用を安く抑えるポイント

これまで離婚時の引っ越しにおいて生じる各種費用についてご説明してきましたが、このうち慰謝料や財産分与等については、当事者間あるいは第三者を交えた話し合い次第という側面が強く、ご自身でコントロールすることはなかなか難しいと言わざるを得ません。

一方で、賃貸の初期費用と引っ越し料金(引っ越し会社に支払う費用)については、いくつかのポイントを押さえるだけで金額をぐっと抑えられる可能性もありますので、これからご紹介する方法をぜひいくつかお試しください。

家賃の低い物件を探す

まずは家賃が低いところに引っ越しをすることで、敷金・礼金、仲介手数料などの支払いを確実に減らすことができます。

例えばそれぞれが家賃1ヶ月分に設定されている物件であれば、家賃を1万円低くすることで初期費用が3万円(敷金・礼金、仲介手数料で各1万円)安くなります。物件によっては敷金や礼金が無料だったりするところもあるので探してみるといいでしょう。

他にも、フリーレント物件を探すことも引越し費用を下げるために有効です。フリーレント物件とは、入居後の1ヶ月から3ヶ月程度の家賃を無料とする契約形態のことで、中には入居後6か月分の家賃が無料の物件なども。不動産情報サイトでも特集が組まれていますので、まずは目を通して見ることをお勧めします。

フリーレント物件【アットホーム】|賃貸マンション・アパート・貸家

フリーレント賃貸【CHINTAI】家賃無料期間あり。初期費用が抑えられるお得な賃貸マンション・アパート・部屋探し情報

【ホームズ】「フリーレント物件」を賃貸で探す

持っていく荷物をなるべく減らす

続いては引っ越し料金(引っ越し会社に支払う費用)について。引っ越しの荷物量が増えると、料金はその分高くなります。というのも、荷物の量が増えると、荷物を運ぶために必要なスタッフの人数が増えたり、荷物を運搬するトラックのサイズが大きくなったりするからです。

現地スタッフは、1人あたりで人件費がかかっているので、必要人数が増えればその分人件費が増えてしまいます。

またトラックについては、少ない荷物量であればミニバンや軽トラックなどでも運べますが、運搬に必要なトラックのサイズが大きくなるにつれて、車両のチャーター料金が高くなります。

そのため、引っ越し料金を安くするためには、引っ越し前になるべく不用品を処分して、荷物の量を減らすことをおすすめします。

荷物を捨てる

一般ごみであれば、自治体のごみ回収日に合わせて処理すれば、追加でお金が発生することはありませんが、大型家電を処理する場合には注意が必要です。

1998年に制定された、家電リサイクル法によって「エアコン、テレビ、冷蔵庫・冷凍庫、洗濯機・衣類乾燥機」に関しては、メーカーがリサイクルして資源に戻すように法律で制定されています。


家電リサイクル法の概要

家電リサイクル法に当てはまらない大型家電や、大型家具の処理については、お住まいの自治体のホームページ等で確認して処理する必要があります。

荷物を売る

お金を払って荷物を処分するのであれば、お金にして引っ越し料金の足しにすることも一つの手段です。

実店舗を持つリサイクルショップ「トレジャーファクトリー」や「ブックオフ」に持ち込むのも良いですが、昨今ではフリマアプリ「メルカリ」「ジモティー」「ラクマ」を利用するケースが増えています。直接交渉ができるので、お店に持ち込むよりも高額で売れることがあります。

不用品を処分してくれる引っ越し会社を利用する

なお、上記の「トレジャーファクトリー」が運営していて、弊社提携先でもあるトレファク引越さんのように、引っ越しと同時に不用品の買取や処分を行ってくれる引っ越し会社さんもあります。引っ越し手続きと不用品処分の手続きをまとめて行いたい方は、こうした引っ越し会社に依頼するのも良いですね。

引っ越し日時を調整する

引っ越しの日程をフレキシブルに調整することでも、料金が安くなる可能性があります。というのも、引っ越し会社のスケジュールが混み合っているときはどうしても料金が高くなり、逆に空いている時は安くなるという傾向があるためです。

月初、月中、月末?

一般的に引っ越しは、1日から始まる新生活に向けて、その前に引っ越しを済ませておこうと考える人が多いため、毎月末に引っ越しの需要が高まります。

また、月末に引っ越しを検討していたものの、引っ越し会社の日程が埋まっていたり、料金が高かったりで、翌月の月初を薦められることも。ということはつまり、月末月初は比較的引っ越しのニーズが高い時期になりがちであると言えます。

引っ越し料金を少しでも抑えたい方はなるべく月の中旬に引っ越しをすることをお勧めします。

曜日は?

土日祝日は引っ越し会社のスケジュールが混みますので、平日に比べると割高になります。

NHK放送文化研究所が調査した「2015年国民生活時間調査」にある国民全体の「平日、土曜日、日曜日」の時刻別行為者率によると、日本人が仕事をしている曜日は、平日が52.9%、土曜日が34.9%、日曜日が23.5%となっています。

つまりは、国民のうちの5割程度が平日に働いており、土曜日には3割程度、日曜日には2割程度の人が働いていることになります。

さらに、月曜日と金曜日は、土日と連休で休みをとって3連休にして、引っ越しをする人も比較的いらっしゃいます。

ですので、引っ越しをするとすれば、休みの人が少ない火曜日、水曜日、木曜日がおすすめになります。ただし例外として、「大安」の引っ越しは平日といえども高くなる傾向にありますので、ご注意ください。

時間帯は?

一般的に、引っ越し会社は一日の作業時間帯を「午前便」「午後便」「フリー便」の三つに分けていて、このうち一番安い見積もり料金になるのが「フリー便」です。

フリー便とは、引っ越しをする日にちだけを決めておいて、作業の開始時間は引っ越し会社の都合に合わせるプランです。

現場のトラックや作業員の状況に合わせるため、価格を抑えることができますが、作業の開始時間は午後からになることが多く、場合によっては夕方や夜からとなる場合もあるため、時間に余裕を持ってスケジュールを立てましょう。

詳細は下記記事でも解説していますので、もしよろしければご参照ください。

引っ越しフリー便はなぜ安い? 時間指定が割高な理由

複数社から引っ越しの見積もりを取る

そしてもう一点重要なのが、引っ越し会社から見積もりを取る際、必ず複数の会社から見積もりを取ることです(これを相見積もり、と言います)。

引っ越し会社は、お客様から複数社の間で比較検討されている場合、他社との価格競争に打ち勝たないと受注ができないため、各社に個別で見積もりを依頼するよりも、安めの見積もりが出てくる可能性が高くなります。

また、引っ越し料金はいわゆる“時価”。1社のみの見積もりではその金額が安いのか高いのかわからないだけでなく、以前安かったA社が、今回も安いとも限りません。

逆に同じ条件での引っ越しでも「その日なら、ちょうど帰りのトラックが押さえられるから、安く提供できる」という具合に、タイミングによって引っ越し料金が安くなることもあります。相見積もりの重要性、お分かりいただけましたでしょうか?

相見積もりは今ではかなり一般的になっていて、不動産会社のFJネクストが2020年に実施した「令和の引っ越し事情」アンケート によると、約8割以上の方が複数の引っ越し会社から見積もりを取っています。


出典: 株式会社FJネクスト 「令和の引っ越し事情」アンケート より

これを見ても、複数の引っ越し会社の見積もりを比較検討する重要性が、広く認知されている、と言えるのではないかと思います。

「引越しラクっとNAVI」はここが便利!

とはいえ複数社を相手に、一社ずつ見積もりを取るのは面倒くさいという方もいらっしゃるかと思います。そんな方には、弊社の「引越しラクっとNAVI」 がおすすめ!

引越しラクっとNAVI:https://hikkoshi-rakunavi.com 

こちらのサービスは、弊社のコンシェルジュにお電話1本でご希望の条件をお伝えいただくだけで、複数社の見積もりを一括で簡単に取ることができる便利なサービスです。

荷物が少ない単身の引っ越しの場合、まずはお電話でご希望や荷物の状況などをヒアリング。お見積内容はWEB上で簡単に比較していただき、ワンクリックで発注も済ませることができる上に、発注を入れた会社以外には自動で失注が伝わるようになっているので、断りの連絡を自分で入れる必要もありません。

また荷物量が多めのご家族での引っ越しの場合は、ビデオ通話でご希望を伺いつつ、荷物の内容などを把握させていただきます。その後コンシェルジュが複数社との料金交渉を行ったあと、お電話で見積もり結果をお伝え致しますので、断りの連絡を入れることなく気に入った引越し会社を伝えるだけでOKです。

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もちろんトレファク引越の見積もりを最優先で取りたい!といったご要望にも対応可能ですので、ぜひお気軽にご相談いただければと思います。

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まとめ

以上、離婚で引っ越しする場合に必要な費用をまとめて紹介しました。離婚の原因が自分にない場合で慰謝料などを請求することができるのであれば、別居時の引っ越しにかかる金銭的な問題はある程度の余裕を持つことができるでしょう。しかし、離婚の原因が自分にある場合や、引っ越し費用を請求できない場合は、出来るだけ引っ越し費用を抑えることが重要です。

離婚するだけでも手続きなどがたくさんあり大変ですが、別居するための引っ越しもかなり大変です。新しい家を探すところから始まり、荷物をまとめて、不要物を断捨離したりと、やらなければいけないことはたくさんあります。

離婚すると決まったらすぐに引っ越しの準備をはじめ、離婚の手続きを並行して行えるよう、余裕を持ったスケジュールを組みましょう。

そして、もし引っ越し会社各社との調整が煩わしく感じられるようであれば、ぜひ弊社までご連絡ください。面倒な手続きは全て弊社にお任せいただいて、その分の時間を大事な離婚調停等にお使いいただければ幸いです。

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著者投稿者 引越しラクっとNAVI編集部
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