資源ごみの回収で地域のコミュニティに参加?資源の集団回収をしている団体に話を聞いてきた。
今回は、前回のエントリーでご紹介した、資源の「集団回収」を行う、大神町駒形囃子連(おおがみちょう こまがたはやしれん)さんにお話をおうかがいします。なぜ、資源回収をおこなうのか?地域にとってどんな影響があるのか?引越し先の地域が、このような集団回収を行っていると、その裏側ではどんなことが起きているのか?など、あまり知られていない裏側のお話、満載でお届けします。
大神町駒形囃子連さんは、東京都昭島市、大神町を拠点にし、昭島市主催のふるさと祭りや、夏に行われる大神町駒形神社の祭礼などでお囃子(太鼓、笛、踊りなどなど)を披露することで、地域の活性化に貢献している団体です。現在会員人数は50名で活動を行っています。
本日は連長の吉岡さんにお話を聞いてきました。
ーー 本日はよろしくお願い致します。
吉岡さん(以下、吉岡) お願いします。
ーー 大神町駒形囃子連では、いつごろから資源の集団回収を始めたんですか?またキッカケなどはありますか?
吉岡 お祭りでお囃子(おはやし)を披露するのに、太鼓や笛を乗せて巡行する山車(だし)が欲しいね、と話していたんです。でも住民からの寄付で山車を造るのはやめよう、資源回収で奨励を得て、頑張ってお金を貯めて山車を造ろう。というキッカケで始まりました。次回10月に実施される資源回収で、105回目の資源回収実施となります。
おかげ様で平成11年に念願の山車を新調し、お披露目となりました。
ーー どのくらいのペースで実施するんですか?また、回収している資源の種類はなんですか?
吉岡 毎年2月の第1日曜日から始まって、以降2カ月毎の第1日曜日に資源回収を実施しています。回収している資源は、新聞紙、雑誌類、ダンボール、缶類、飲料パック類、電池、衣服です。
過去には瓶の回収も積極的に行っていたんですが、去年から瓶の色や種類毎にかなり細かく分別をして業者に引き渡さなくてはいけないルールになり、集団回収の領域ではコストがかかりすぎるため今は回収していません。ビール瓶と日本酒の一升瓶は酒屋さんへお返しするので例外です。
それからペットボトルの回収も奨励金の受領額の都合上行っていません。資源は、各家やマンション毎に、自宅の目の前に出してもらったものを我々で回収しています。
ーー 資源回収の作業の流れはどうな風に行うのですか?
吉岡 作業は、各家を回って資源を回収する「回収班」と、回収した資源を仕分けする「分別班」の2チームに別れています。回収班は2人1組で、担当エリア毎に軽トラックや軽バン自動車などで各家の資源を回収します。回収班は5組~多いときは10組ほどで作業します。これが担当エリアを割り振った地図です。
吉岡 回収した資源を分別班が待機している集積所へどんどん降ろして、降ろし終わったらまた回収に向かいます。回収班はひたすら積んでは降ろしての作業を往復する過酷な作業です(笑)。作業するトラック台数や組数にもよりますが、だいたい軽トラック満タンに積み込んで5~8往復くらいします。
ーー 回収班になった人は大変ですね(笑)
吉岡 ところが分別班もなかなか大変なんですよ(笑)回収班のトラックが集積所についたら、分別班の手によって軽トラックいっぱいの資源が猛スピードで降ろされて、新聞紙、雑誌類、ダンボール、缶類、パック類、電池、衣服にこれまた猛スピードで分別されて収められていきます。そうしないと次から次へと回収班のトラックが着て集積所が溢れかえってしまうのです。分別班は回収業者の方も含めると、だいたい20~30人以上になることもあります。
ーー 楽なポジションは無いということですね。
吉岡 そうですね、100回以上実施していますからかなり手慣れてきましたが、行政の回収業を行っている作業員さんは凄いんだなと思います。
ーー だいたいどのくらいの奨励金が得られるんでしょうか?奨励金の使い道は?
吉岡 一度の資源回収で、平均10万円~15万円前後の奨励金を頂いております。資源の量が多いのは年末の12月の回収ですね。みなさん断捨離を行うからでしょうか。頂いた奨励金は、囃子連の活動資金に使わせていただいています。
お囃子(おはやし)を披露するのに重要な山車(だし)の装飾や、太鼓、それから、ひょっとこやおかめの踊りのお面や衣装。練習中や祭礼中の飲食などの消耗品などなどに使わせていただいています。
ーー 当時の写真を拝見しましたが、少しづつ山車を装飾しているんですね。
(以前の山車(だし))
吉岡 はい、山車(だし)の周りについている龍や牡丹の彫刻はほとんどが後付で買って付けました。最初は何もついていないシンプルな山車だったのに、地域の皆様のおかげでどんどん立派になって、本当にありがたいです。
(現在の山車(だし))
ーー 近年リサイクルの意識やリサイクル率の上昇につれて行政での資源回収もかなり活発になっていますよね、集団回収における資源の回収量に変動はありますか?また、奨励金側にも変動はありましたか?
吉岡 ありがたいことに私たちが資源回収を定期的に行っていることが、地域の方々にはかなり浸透した行事となっておりますので、集まる資源の量に大きな変化はありません。奨励金の変動は、残念ながら減額になったり、瓶のように分別を完璧に行わないと奨励が得られなくなったりと厳しい部分も増えました。
ーー 資源回収を行う上で、気を付けていることはありますか?
吉岡 やはり安全第一ですから、回収班、分別班、共に交通事故や熱中症などの健康被害には気を付けています。それから、地域住民の方への挨拶やお礼の言葉ですね。ご協力いただいている身ですので当然です。うちには小中学生の小さな子も所属しているので、どんな場所へ行っても挨拶やお礼がしっかりできるように日頃から言っています。
あとは、資源は家の目の前に出してもらうのですが、少し奥まっている家屋の玄関先などに出ていた資源を見落とさ無いように地図の確認と、路地などの細い道にもしっかり見に行くようにしています。
ーー 資源を出していただく際に、気を付けてほしいことなどはありますか?
吉岡 飲料容器などの洗浄はお願いしたいです。特に夏場は、未洗浄のまま回収された空き缶や牛乳パックは色々と凄いことになっていますから。あと、最近コーヒーの185ml缶に「アルミ缶」製品が出てまして。分別班が缶類を「アルミ缶」と「スチール缶」に仕分けするんですが、とにかく騙されやすいです(笑)
我々の資源回収の際は分別班が目を光らせているんで大丈夫ですが、地域によっては行政の資源回収でも「アルミ缶」と「スチール缶」を分別して出さないといけない地域もあるでしょうから、コーヒー缶にもアルミ製品があると知っておいていただければと。
ーー 初めて知りました。コーヒー缶はスチール缶のイメージですもんね。他に苦労されていることはありますか?
吉岡 あと、新聞を出していただく際、1本だけの紐ですごい絶妙なバランスで出されている資源が結構あるんです。新聞や雑誌類は出来れば十字クロスに紐でくくっていただけると助かります。
ーー これも、普段の行政の資源回収にも言える気を付けたほうが良い点ですね。紙類のまとめ方の裏ワザを前回のエントリーで紹介しておりますので是非参考にしてください
ーー 資源回収中のエピソードはありますか?
吉岡 回収に行った家々の方達に「お疲れ様です」とか「頑張ってね」と声をかけて頂けるのは嬉しいです。あとは、子供たちで食べてくださいと差し入れを頂いたり、暑い日には飲み物を頂いたりするのもありがたいですね。
良いエピソードかはわからないですが、地域活動を積極的に行っているとある意味有名人になる会員もいて、地元じゃ悪いことはできないねと笑い話になりました。いや、最初から悪いことなんてするつもりは無いですけどね(笑)
ーー 逆に資源回収中の大変だったエピソードはありますか?
吉岡 過去話ではなく資源回収のたびに起こっている出来事なのですが(笑)とある囃子連会員のご家族1世帯が、資源回収のためにものすごい量の空き缶を集めてくれるんですね。だいたい軽トラック2台が満杯になるくらいの凄い量です。1世帯でですよ?協力していただけてとても嬉しいんですが、あの量の空き缶は保管しておくだけでもなかなか大変だよなあ。と毎回恐縮しております。
ーー 集団回収は地域住民の方の協力があってこそなんですね。
吉岡 はい、まったくその通りです。
ーー 本日はありがとうございました!
大神町駒形囃子連さんは、集団回収の実績で所属している昭島市から表彰を受けることもあるそうですよ。
まとめ
資源ゴミは、生活していく中で多かれ少なかれどこの家にも出る可能性があるものです。これから引越しを行って新生活を始める方は、町の資源回収にゴミを出すだけでも、地域活動への参加、協力になります。資源ゴミを決まった日に出すだけなので、気軽に参加できる敷居の低さもあります。
地域住民同士の交友の輪のキッカケになるかもしれませんよ?是非ご新居の地域では、行政回収だけではなく、地域の集団回収の実施の有無を確認されてはいかがでしょうか?
Interview by Yachiyo Morita