すぐに使える!? 大手引越し会社の研修現場で教えてもらえる引越しテクニック

こんにちわ!今日は、先日のエントリーで、大手の作業スタッフの現場は、毎回違う人がくるから、口コミだけだと信頼できない!というお話をしたので、じゃあ、大手の引越し会社は、どんな対策を行っているのか?を調べるべく、アート引越センターさんの研修現場にお邪魔しています。

アート引越センターさんでは、研修を行なうために、なんと、研修のためのお家を建ててしまいました!

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いたって普通のお家です。そう、外見はね。。。

画像提供:アート引越センター

ところが、実は普通じゃないのです。それは、出入り口を含めて、廊下、階段など、わざと狭く作っているのです。なぜでしょうか?もちろん、これは研修用のお家ですから、引越しの作業スタッフにとっては、非常に作業しづらい作りになっているのです。

では、ここでどんな研修が行われているのでしょうか?いくつかパートが分かれていましたので、それぞれに見ていきましょう。

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吊り作業パート

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吊り作業のパートでは、タンスを2階のテラスから、引き上げるという作業の研修が行われていました。

この吊り作業。プロから見ると、おかしい点があるのですが、どこがおかしいか分かりますか?

それは、タンスを縦に吊っていますよね?実際の現場では、横向きに吊る方が、力も入れやすく、作業しやすいのです。また、そもそも通常は2名での吊り作業は行わないとのことです。ですが、今回は研修なので、敢えて普段は行わないような厳しい環境でトレーニングをしているのです。

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見よ、この上腕二頭筋!という、男らしい研修です。

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この最後のテラスへ持ち上げて引き込む作業が、非常につらいようです。

外階段パート

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続いて、外階段を見てみましょう。

外階段も幅が狭く鉄の格子がむきだしになっているので、家財に傷がつかないように運ぶのが難しくなっています。

さらに、この外階段チーム、タンスを運んでいるのですが、これが、本当に重いんです。さらに、この外階段も狭いので、ここで方向転換させるためには、声を掛け合って、ギリギリのところを通していかないと、運べないようになっています。

実際に、現場リーダー2名が組んだ場合と、研修対象者2名が組んだ場合の2パターンを見せてもらいました。

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どちらが、リーダーチームで、どっちが研修対象者チームかわかりますか?

ポイントは、この「手」。リーダーは、この重たいタンスを片手で持ちつつ、もう片方の手で家財を傷めないように、ガードしています。

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研修対象者チームは、持って運ぶことに精一杯で、一番、壊れやすいところをガードできていません。これが現場力なんでしょうね。

とはいえ、研修対象者さんたちの名誉のために言っておくと、この状況ははっきり言って、そうそう無いといいます。つまりこんな重たい家財で、狭い通路を手で運ぶという環境は、ほとんど無いということなので、普段から失敗ばかりしているわけではありませんよ。

お家に入ってみる

続いて、お家の中に入ってみましょう。

アート引越センターさんでは、月に一度、各ブロックがこの研修施設で現場研修を行うそうです。今回は、神奈川県にある研修センターにお邪魔していますが、関西は大阪府にも同様の研修センターがあるほか、マンションタイプの研修センターもあるとのことです。

男女問わず、作業スタッフとして、入社したばかりの方から、10年近く現場を担当されているリーダーまで、研修に参加されています。

研修当日は、複数の支店の人たちが来ているので、即席のチームを組んで、初めて組むスタッフと難しい環境で研修を行います。実際の引越しでは、各スタッフのスキルを把握している人たちが、チーム分けをしますので、お客様のお引越しに合わせたチーム分けを行えますが、研修中は当日のぶっつけ本番なんですね。

内階段パート

この研修用のお家では、キッチンが2階にあります。ですので、冷蔵庫ももちろん、2階へ運びます。キッチンが2階にある理由も、重い冷蔵庫を2階に上げなくてはいけない為ということや、最近は二世帯住宅などでキッチンが2階にあること自体が珍しいことではないので、実際の現場に即しているという面もあるようです。

しかし、2階までの道のりはこのせまーい階段を通る必要があります。さらに、カーブしていますので、難易度はさらにアップしています。さらに、この狭い通路という環境だと、2名でしか作業できません。つまり当日、4名の作業スタッフがいたとしても、実際に作業できるのは2名でしかできない状況なのです。

あまりにも、当然なので、書くのを忘れていましたが、しっかりと養生シートで、お家を傷つけないように保護します。

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写真提供:アート引越センター

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本物の冷蔵庫を使って、リーダーが持ち方や、注意点を指導します。

ちなみにこの冷蔵庫、約90kgの重量がありますので、1人にかかる負担は45kg。引越しの作業スタッフの方々はすごいですね。最近は120kgの冷蔵庫も増えてきているとのことで、これはもう素人では運べません。

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狭い階段を2人で重たい冷蔵庫を2階に運ぶという研修中。

写真提供:アート引越センター

女性スタッフも写っていますが、男女関係なく、研修は行われます。この後、女性スタッフも研修で冷蔵庫を持っていましたが、さすがに持ち上げることができていませんでした。

じゃあ、持てないからダメなのか?というと、そうではなく、この研修の大きな目的の一つに、「自分の限界を知る」ということがあるとのことです。ですので、女性スタッフも実際に作業してみて、これは大丈夫、これは無理という判断をさせるために、男性同様の作業研修を行うとのことでした。

内作業パート

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こちらのパートでは、梱包作業や、シーリングライトの取り付けや、取り外しを行っていました。作業スタッフは、初めて見る電化製品でも、失敗しないように運搬しなくてはいけません。ですので、最低限の知識や、取り付け、取り外しを実物を使って研修しています。

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このお家の中にもありましたが、ピアノは専門業者が運びますので、引越し会社では運びません。

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洗濯機は、運搬は引越し会社のスタッフさんが行いますが、設置は電気工事会社の人が行います。

チームリーダーの経験

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アート引越センターさんでは、左腕についたネームバッチの色で、職格が決まっているそうです。赤色が、リーダーの方々です。今回の研修でも、各パートごとにリーダーが指示、指導を行っていました。

チームリーダーの方々は、どの程度の現場を経験されているのか、想像できますか?お伺いしたところ、リーダーになるまでには、少なくとも5年程度の経験は必要。10年というリーダーもいらっしゃるそうです。仮に1日に2件のお引越しを担当し、20日勤務とすると、1年で480件のお引越しを経験しています。5年から10年ということですので、2,400〜4,800件のお引越しを経て、リーダーとなり後輩を指導しています。

これって、すごいですよね。

またリーダーにとっても、この研修は、「人に教える(伝える)」という研修になっています。当日、初めてチームを組んだスタッフを従えて、無事に引越し作業をまとめ上げることはもちろん、その子たちに、知識や経験を伝えて、さらに彼らが支店に戻った時に、今回参加していないスタッフに対して、伝えるためのトレーニングを行っているのです。

会社としての取り組み

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今回の研修では、吊り作業チーム、外階段チーム、内階段チーム、内作業チームと分かれていました。取材の日には、実施していませんでしたが、現場スタッフ用の座学研修や、お家から出した家財をトラックへ積み込む、積み込み研修もあるそうです。

取材をして、すごく伝わってきたのは、実際のお引越しでは、お客様の家財を取り扱うので、失敗できません。だからこそ、この研修の過酷な環境で失敗を経験して、現場力を鍛えているとのことです。

繰り返しになりますが、アート引越センターさんでは、このような研修を、月に一度、行うルールになっているとのこと。今回も新潟県から参加されていたりと、コストをかけて、引越しサービスの品質を保とうとされています。

やはり大手の引越し会社ですと、作業スタッフ数も、かなりの人数になりますから、作業レベルを保つには、ここまでやらないと、ダメなのですね。引越しの作業スタッフのサービスレベルを維持するには、大手の苦労があることがわかりました。

おまけ

最後に、ちょっとだけおまけというか、気がついたテクニックについてお伝えします。

引越し会社の方々には、当たり前の作業なんでしょうが、私たちシロウトが感じること。

家財が蛇腹と荷締めバンドで梱包されている。

シロウトでは、この資材がないので、ハダカのまま運ぶことになります。ですが、プロはこの蛇腹で包んで、荷締めバンドで締めてしまうことで、持ち手を作ることを可能にしています。

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このように、家財を持つのですが、家財特有の引っかかる場所を持つのではなく、梱包して持ちやすい位置にバンドを取り付け、家財を傷つけることなく、持ちやすい環境を作っているんですね〜

ちなみに、下の写真のタンスの場合、重心が左よりなので、荷締めバンドの位置が、センターより左よりになっているんですね!

もし、自分たちでお引越しをしようと考えている人がいれば、蛇腹と荷締めバンドを揃えれば、一気にプロっぽくなりますよ!(笑)

アート引越センターさん、お邪魔しました!
取材協力:アート引越センターさん

さーて、次はどこにお邪魔しようかな〜

著者投稿者 横川
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