仲介手数料完全無料が絶対に成り立たない3つの理由と、僕ならこうするよ!という無責任な提案。

こんにちわ。引越しラクっとNAVI(@hikkoshinavi)の横川です。

先日、超有名ウェブライターのヨッピーさん(プロ無職)が書いていたエントリーを読みました。

【賃貸】「仲介手数料0円」のサービス誕生!? 貧乏漫画家をマジで引っ越しさせてみた

 

0322014

ホワイトハウス

 

すごく簡単に説明すると、

1)どんな物件も仲介手数料無料
2)運営費は、インターネットの取次手数料
3)他にも保険の取次手数料などの手数料
4)オーナーからの広告料で賄う

というビジネスモデルのようです。

よくある、仲介手数料無料!を謳うサービスの場合、4)が出る物件しか紹介しないので、紹介できる物件数が減るわけですが、今回の記事の不動産会社さんでは、4)の広告料がなくても、大丈夫っぽく書かれていました。

果たしてこのサービス成り立つのでしょうか?下世話ですが、勝手に収支を計算してみました。

どのくらい利益が出るのか?

では、具体的にいくらぐらいの利益が出るのか?チェックしてみました。

まず、仲介手数料がもらえないので、収益源は以下の項目になると予想。

1)インターネット取次手数料
2)火災保険の取次手数料
3)引越しの取次手数料
4)オーナーからの広告料
5)24時間サポートの取次手数料
6)その他

こんな感じでしょうか。

 

仮に、家賃が80,000円の場合、どの程度の手数料になるのでしょうか?試算してみました。まずは、全てを申し込んだり、オーナーからの広告料が1カ月分出る物件をお客さんが選んだ場合という、最高条件で考えてみます。

1)インターネット取次手数料: 2,000〜10,000円
2)火災保険の取次手数料: 2,000〜5,000円
3)引越しの取次手数料: 1,000〜5,000円
4)オーナーからの広告料: 80,000円
5)24時間サポートの取次手数料: 10,000円
6)その他: 500円

合計:110,500円(すべて最高条件)

 

となります。これなら、運営できそうですが、こんなにうまくいくことはないでしょう。なぜなら

 

・すべての人がインターネットを利用するわけではない。

・管理会社によって、指定の火災保険がある。(仲介業者が手を出せない)

・引越し会社を使わない人もいる

・オーナーからの広告料が出ない物件だってある。

・24時間サポートは、はっきり言って無駄なものを押し付けるようなもので、心が痛い

 

とはいえ、最高条件で考えても仕方がないので、もう少し、リアルな数字に近づけます。

仲介手数料完全無料が成り立たない理由1

0322011

まずは、各商品ごとの成約率や、現在の市場について解説していきます。

1)インターネット取次手数料: 1,600円/人

ちょっと前までは、フレッツ光のバブルがあったのですが、光コラボレーションになってからは、手数料が落ちているので、光コラボレーションで単価は8,000円程度です。

最近は、無料で利用できるインターネットの建物も増えているので、そうなると、契約率は低下します。多くても、20%程度の人が申し込むとして、8,000円x20%=1,600円/人となります。

もっと高い手数料のインターネット回線もありますが、高い=ユーザーへの縛りが厳しいというのが一般的なので、違約金が30,000円とか、ちょっとお勧めできません。

 

2)火災保険の取次手数料: 250円

これは管理会社次第という部分がありますが、仲介会社が取次ができることは、それほど多くないと思われます。仮に10%とすると、2,500円x10%=250円/人となります。

 

3)引越しの取次手数料: 750円

引越しの取次手数料ですが、引越し会社を利用しない人、紹介されても他で決める人などいますので、紹介料の単価を2,500円として、契約する人が30%いるとすると、2,500円x30%=750円/人となります。

 

4)オーナーからの広告料: 16,000円

先日、広告料がある物件の比率を出した時は、約44%(渋谷区渋谷1丁目の場合)の物件が広告料が出る物件でしたが、今回の計算ではちょっと低めに、30%とします。すべての広告料が100%もらえるわけではないので、70%と仮定すると、80,000円x30%x70%=16,800円

 

5)24時間サポートの取次手数料: 1,000円

これも、管理会社が指定してくるケースが大半(50%程度)なので、仲介の際に付帯するのは至難の技です。なんとか頑張って、この不要なサポートを全体の10%の人に付帯したとします。10,000円x10%=1,000円

 

6)その他: 500円

その結果、

1)インターネット取次手数料:1,600円
2)火災保険の取次手数料:250円
3)引越しの取次手数料:750円
4)オーナーからの広告料:16,800円
5)24時間サポートの取次手数料:1,000円
6)その他:500円

合計:20,900円/人

きっ、きびしー!! 結果となりました。

これだと、絶対にサービス的には成り立たないので、保険を火災保険でなく生命保険として、取り次いでなんとか、+10,000円の単価を上げたとしても、約30,000円。

仲介手数料が1ヶ月分もらうことができれば、少なくとも上記の金額に、プラスして80,000円の手数料になりますので、最低限、運営ができると思いますが、仲介手数料がもらえないと、かなり厳しいと予想できます。

仲介手数料完全無料が成り立たない理由2

0322012

前述の通り、収支が合わないので、内見も難しくなります。そうなると、他の不動産屋で内見をして、仲介手数料が無料の不動産屋で契約をするという、量販店と価格コムの家電屋さんの戦いと同じ現象が起こります。

いわゆる、量販店が展示場になって、実際に購入するのは安い価格コムの電気屋さんという例です。

ところが、量販店と価格コムの家電屋さんとの大きな違いは、不動産(お部屋)は1点ものであるということ。フロア違いで、同じ間取りがあるとはいえ、まったく同じお部屋は世の中に二つと存在しません。

 

さらに、管理会社によっては、A不動産で内見だけをした山田太郎くんが、仲介手数料が安いB不動産から申し込みをした場合、本来B不動産に支払う広告料を、A不動産に支払う。という慣習もあります。(すべてがこの仕組みではありません)そうなると、B不動産は仲介手数料が安い上に、広告料をもらうこともできなくなります。

 

前述の通り、広告料は最大の収益源ですから、ここがなくなると、さらにサービスを成り立たせるのが厳しくなります。

とはいえ、手数料が30,000円に満たないサービスで、複数のお部屋に内見をしに行くのは、かなり厳しいのではないでしょうか?店舗への来店不要ということですから、オトリ物件の心配がないのは、素晴らしいのですが、そもそも内見する余裕があるのか。。。

結局は、人が動くとコストが増えるということですから、収支の部分と関わってきますが、内見ができないのではないでしょうか。

仲介手数料完全無料が成り立たない理由3

0322013

ヨッピーさんが、受けるお仕事だから、あの記事にウソはないと思うので、本来1ヶ月の礼金が、2ヶ月になるなどの不正はないと思います。

ですが、お客様は、敢えてあの不動産会社さんを通して契約をする必要がありません。なぜなら、サービスの質がどうしても劣ってしまうからです。詳しくは、順番に見ていきましょう。

 

引越しは相見積もりが基本だけど・・・

引越しを安くするために、相見積もりを取るのは当たり前ですが、それぞれの引越し会社とやりとりするのは大変です。紹介されても、一括で見積もりが取れるわけでもなく、提携している引越し会社しか紹介してもらえませんから、大手のA引越センターから見積もりが欲しい!と思っても、不動産会社が提携していないと、紹介してもらえません。

条件が変わるたびに、何度もなんども複数の引越し会社とやり取りをするのは、大変です。そんな、引越し会社との面倒なやりとりが発生するのを分かった上で、敢えて、あの不動産会社さんを通して引越しをする必要はありません。残念ですが、餅は餅屋です。

 

高額インセンティブのインターネット回線が紹介される

インターネットにしても、紹介されるのは光コラボの高額インセンティブの回線であろうと予想されます。

ですが、高額インセンティブ回線 = ユーザーにとって最適なインターネット回線ではありません。

それでも、敢えて、不動産会社さんを通して契約しますか?ちなみに、インターネットの契約は、クーリングオフができません。ですから、入居前に契約をして、引越先が無料のインターネットだったので、解約をしたら、違約金が発生する!なんてトラブルも、よくあります。総務省も頭を悩ませている事案です。

ですから、事前に使える回線を全て確認した上で、その中から携帯や電力など、総合的にインターネット回線を選択する。そんな時代なのに、不動産会社へ支払われる手数料だけで、インターネット回線を選ぶのは、ちょっと怖いと思います。

 

ほとんどの火災保険は、過剰な補償

火災保険にしても、最近はネットで必要な家財の分だけの保険をかけることができます。それなのに、敢えて、あの不動産会社さんを通して火災保険を契約しますか?

 

そもそも存在が意味不明な、24時間サポート

24時間サポートについては、火災保険の中や、クレジットカードに同じようなサポートが付帯しています。それでも敢えて、20,000円近くの費用を支払って、24時間サポートを受けますか?半分以上、不動産屋へのキックバックとなるサービス、どのくらいの人が利用しているのか、キックバック比率を見れば、わかると思います。

 

と、仲介手数料を割り引いて、ユーザーのメリットを出そう!という気持ちはとても同感できます。ですが、そのために引越しをする際の、様々な契約を”不動産屋さんへのインセンティブの多寡”で紹介されるのは、ちょっと違うかなーって思います。

もちろん、その分の仲介手数料を無料にしてくれているので、素晴らしいサービスだとは思いますが、これが長く続くとは、思えません。だって、インターネットの手数料が大幅に下がる可能性もありますし、引越しの手数料が大幅に下がる可能性もあります。

そんな、不確定要素が収益の源泉となっているサービスは、かなりの綱渡りですよね・・・

こんなサービスはどうでしょう

0322015

と、批判ばかりでもダメだということを、永江さんのブログで学んだので、どうやって収益を上げていくか、サービスを成り立たせるかを提案してみたいと思います。

 

まず、サービスを成り立たせるための、費用を算出します。全体でいくら。という計算ではなく、1人のお客様に対応するにあたっての費用を出します。

仮に1人のお客様に対する必要な費用が、70,000円とします。で、関連費用(インターネットや、引越しなどの手数料)でも70,000円に満たない場合、仲介手数料として差額をお客様から頂く方式です。

例えば、あるお客様がインターネットを契約してくれた。広告費が50%出た(80,000円の家賃)、24時間サポートに加入してくれた。としますと、

1)インターネット取次手数料:5,000円
2)火災保険の取次手数料:0円
3)引越しの取次手数料:0円
4)オーナーからの広告料:40,000円
5)24時間サポートの取次手数料:10,000円
6)その他:500円

合計:55,500円/人

 

この結果を受けて、仲介手数料として70,000-55,500円の 14,500円 をお客様から頂く。という感じです。つまり、「完全」仲介手数料無料ではなく、「最大」仲介手数料無料のサービスとするのです。

これをお客様にも、どの回線だと、いくら仲介手数料から引けます。とか、引越し費用が50,000円だったので、仲介手数料から、2,000円引けます。とか、明瞭会計にすることが大切です。

中には、広告費が出るので、完全無料で大丈夫です。という物件も出るでしょう。

ユーザー側と立場としては、最大で1ヶ月分の仲介手数料で、不動産会社を通して、納得のできるサービスを申し込んだのであれば、仲介手数料から減額されるという、仕組みです。

 

で、この1人のお客様に対する費用の設定が肝になるのですが、ものすごくたくさんの人が契約をしてくれた月は、契約数に応じて、クオカードのキャッシュバック。なんてキャンペーンをしてもいいでしょう。

この方式にすることで、無理やり高額インセンティブのインターネット回線を売る必要がなく、本当に必要な人にだけ、必要なサービスを提供することができるので、お客様だけでなく、不動産屋さんにとっても、メリットが大きくなります。

お客さんも、どうせなら不動産屋さんから紹介されたところで申込みをした方が仲介手数料が割引になるというインセンティブが発生します。

 

このサービスにするためには、インターネット回線を取次ぐ代理店が、たくさんの通信キャリアの取り扱いができれば、お客様はどの回線を選んでも、仲介手数料を減額することができるので、高額インセンティブありきのインターネット回線の提案をしなくて済むのです。

同様に、引越しの見積もりも特定の引越し会社に依存することなく、複数の引越し会社を一括で簡単に見積もる会社がサポートにつけば、成り立つと思います。

そんな素晴らしいサービスを提供している会社、あるのでしょうか・・・これ以上は言うまい

最後に

とはいえ、仲介手数料を無料で契約してくれるのは、最高だと思います。ですから、ネットの契約もしないし、引越しも選択肢には入れるけど、契約するかどうかはわからない。無用な24時間サポートは契約しない。という、強者は是非、仲介手数料を無料で契約してもらうといいと思います。

特に、家賃が高くなるほど、メリットが大きくなりますので、高額家賃物件を探している人ほど、ホワイトハウスさんでの、仲介を依頼してみてはいかがでしょうか?来年3月までは、このサービスを運営するとお約束されているので、引越しをする予定のある人は、いいのではないでしょうか?

僕の予想を裏切って、仲介手数料完全無料のサービスを永続的に続けていただけると、他の不動産会社も追従して、一般的なサービスとなってくれることを、1人のユーザーとしては、心から願っております。

著者投稿者 横川
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