これは誰得?転勤の引越しで得する会社と、損する転勤者

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今日は、現在絶賛開催中のオフィスサービスEXPOにちなんで、「転勤」に関する業界のお話をお伝えします。せっかくなので、企業の総務さんが知らないようなリアルなお話をご紹介できればと思います。

社宅業務はなにをするのか?

まずはそもそも、総務人事部で社宅業務を担当する人に本当に大変な業務はなにか?と聞くと、

・入居の手続き(契約書のチェック、入居前入金、契約書の締結など)
・引越しの手配(相見積もりの取得、本人との調整)
・退去の手続き(解約精算、給与への反映など)

いろいろと答えはかえってきますが、上記の3つに大別できます。
それ以外は、毎月のルーチンなので、家賃の振込にしてもネットバンキングで自動振込にすれば工数は取られませんし、あまり手間ではないのですが、とにかく手間がかかるのが上記の3つです。

かゆいところに手がとどく、社宅代行会社

上記のお仕事を社宅の担当者は、通常業務をこなしながら、対応します。しかも、転勤のタイミングは9月と4月に集中するので、あまり多くの人が関わるチャンスがなく、ある特定の人がずっと担当するケースが多くなります。

そして、ある一定数の社宅の件数になると、社内だけではまわすのが困難になり、アウトソースを検討しはじめます。そのアウトソース先は、社宅代行会社と呼ばれる企業になります。社宅代行会社はいろいろなサポート業務を行っており、具体的には以下のようなサポートを行っています。

・お部屋探し
・入居の際の初期費用の立て替え払い
・お部屋の契約書の法務チェック
・お部屋の契約書の代理捺印
・契約書の保管
・毎月の家賃の立替え払い
・退去時の精算業務
・引越しの手配
・引越し料金の立替え払い

このように、社宅代行会社は総務部や人事部が行う社宅に関する業務を丸ごとアウトソースで受けてくれるありがたい会社です。
会社の名義で契約している社宅が200部屋を超えると、担当者1名ではまわらないと言われています。そこで、上記のような社宅代行会社が業務を引き受けてくえるのです。

社宅代行のデメリット

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上記のような面倒な手続きを行ってくれるのですから、できることなら、アウトソースしたいですよね?ですが、すべての企業が社宅代行会社へ依頼をしているわけではありません。デメリットはなんでしょうか?

まずは、コスト面。企業によって料金は様々ですが、まず月額の利用料金が発生します。また、1部屋を手配するごとに、手数料が発生しますし、引越しの見積もりを取るたびに手数料がかかります。まあ、あたりまえのお話ですよね。面倒な手間を削減してくれるのですから。

実際の費用については、あまりにも企業ごとの契約がバラバラすぎるので、一概には言えません。ですが、かかる費用は、すべて人の手間ですので、原価は人件費だけです。正直な話、交渉の結果でどうにでもなるので、企業の担当者は、一度交渉してみてはいかがでしょうか?

ちなみに、転勤が発生しない月でも、月額料金は支払う必要があります。前述の通り、9月と4月に集中する企業は、意味のない月額料金を支払うことになるのですが、面倒な部分をアウトソースするために必要な経費として、捉えているとは思いますが、もったいないですよね。

また、社宅代行会社の中には、フルパッケージでしか販売しないよ。という会社もあって、やってもらいたいのは初期費用の立て替えだけなんだけど、それ以外もアウトソースのメニューに入っているので、使っても使わなくても料金はかかるという、利用企業にとっては残念なケースもあります。

お部屋探しができない社宅代行

まあ、ここまでのお話は別に業界にいなくても分かる話です。で、実際にもっと困るお話があります。それは、お部屋探しのサポートをしてくれるのに、物件が見つからない。という状況が良くあります。それは、なぜでしょうか?

そこには、引越しの一括見積もりと全く同じ業界の構造があります。そうなんです、社宅代行会社は、転勤する人の情報を、提携する不動産会社へ一括送信しているので、10社から同時に連絡が入ったり、同じ物件ばかり紹介されたりと、ユーザーはいろいろな不動産会社と全く同じやり取りを何度もなんども繰り返すので、疲れ果ててしまいます。

ですが、いろんな不動産会社から物件が出れば、まだいい方です。中には、全く紹介されないケースも存在します。それは、また別の理由があるからです。

社宅代行会社から転勤者情報を受けた不動産会社は、お部屋の仲介に成功した場合、社宅代行会社へキックバックを支払います。まあ、よくあるお話ですが物件が紹介されない理由は、これが、かなり高額に設定されており、お部屋のオーナーが手数料を支払ってくれるお部屋以外は、紹介できません。お部屋のオーナーが手数料を払ってでも入居者を募る物件ですから、本当にいい物件かどうか、わかりますよね?

その結果、オーナーが手数料を支払わないお部屋が多い地域は、全然物件を紹介されません。不動産会社にしてみたら、仲介業務を行っても高額キックバックで手数料がなくなるので、業務を行う意味がないからです。

ちなみに、高額とはどの程度だと思いますか?聞いた話ですが、仲介手数料の80%を社宅代行会社へ支払う契約もあるそうです。これは不動産会社は、やってられませんよね。

この低受注率に加えて、高額キックバックを求められる上に、不動産会社は月額の登録料を支払います。この料金は、地域や紹介を受ける件数によって異なるようですが、3万円〜10万円程度と聞いています。

暇な時期は、一件でも仕事が欲しいので、対応しますが、忙しい時期は社宅代行会社以外の案件が増えるので、高額なキックバックを要する社宅代行会社から紹介された転勤者は後回しにされてしまいます。ですので、お部屋探しで物件が紹介されないのです。

これが、本当の社宅代行業界のお部屋探しです。この社宅代行という構造ができ始めてまだ10年の業界ですので、社宅代行を通して転勤を行った人たちがまだそれほど多くありません。ですので、あまり表にはでていないのですが、一度利用した社員は、二回目は社宅代行会社を使わずに、自分で探すことが多くなります。それでも、企業は社員のために、月額料金を支払って社宅代行会社と契約するのです。

まあ、総務担当者にとっては、社宅を管理してもらうことで楽ができるので、うれしいかもしれませんが、実際に引っ越す転勤者にとっては、そんなことはどうでもよく、いかにいい物件を素早く、斡旋してくれるかが、重要なのですが、現在の社宅代行業務では転勤者はおざなりになっているのが現状です。

余談ですが、うちに限ってそんなことはないよ!という総務人事部の担当者がいる企業が、一番転勤者の不満が多い企業だったりします。

社宅代行会社の引越し

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では、引越しの見積もりはどうでしょうか?社宅代行会社によってスタンスは様々です。引越しの相見積もりを取る会社、取らない会社、引越しは対応していない会社いろいろありますが、もし、対応していても、一括見積もり同様、情報を転送して終了です。

引越しの手配は、社宅代行会社もかなり及び腰です。それは、つどつど見積もりを取らないと、安くならない、一社に任せることができない、など自分達で制御できない部分が多い上に、手数料が安い(お部屋探しに比べて)ので、割に合わない。というのが本音のようです。

こちらも、転勤者からの評判はよくないのが現状です。結局は、自分で手配するという人が増えているので、果たして社宅代行会社に依頼するメリットはどこにあるのか?と疑問がでますね。

結果、利用者(転勤者)にとっては、都合が悪い

というわけで、いろいろ業務をアウトソースできるので、総務部にとっては、便利な社宅代行サービスですが、実際に転勤をする人にとっては、イマイチなサービスだったりするわけです。

転勤の辞令がでて、総務部からここを使って引越ししてね。と言われた先が、社宅代行会社だった方には、「残念です」と伝えたいです。ただし、会社が絶対にこの社宅代行会社や不動産会社を通しなさい。というケースはあまりないので、自分たちで探す方向で動いた方がいいです。契約後は、社宅代行会社にお願いすればいいだけの話ですから、お部屋探しの部分は自由があります。

ですが転勤の際は、時間もなく、お部屋探しも引越しも大変だと、思いますよね?こういった状況を解決するようなサービスが欲しいですよね。あるのでしょうか?あるんです!

それはまた、次のエントリーで。(まあ、わかると思いますが。。。)

著者投稿者 横川
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