どうしてこうなった、「空家対策特別措置法」

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これまでの2つのエントリーで

空き家が増えることによる犯罪の増加はよくない!
空き家をこれ以上増やさないために、こんな案はどうですか?

ということを書いてみました。じゃあ、良くないことがわかっているのに、誰も何もしていないの?というところをご紹介してみたいと思います。

法律もあるよ!空き家対策

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「空家対策特別措置法」はご存知でしょうか?簡単に言うと、「特定空き家」と定義された、壊れる可能性の高い空き家や、不衛生で景観を損ねる空き家は、自治体の判定により、所有者に指導や勧告を出すことができる法律です。

これまで放置されていた「特定空き家」を自治体が把握して整備や対策計画をしていくことができるようになった法律です。

単純に自治体にとっては、負担が増えましたが税収アップも見込める内容となっています。逆に空き家の所有者にとっては、空き家の整備か、税金アップかという選択になり、どっちにしても経済的負担が発生することになるのです。

では、自治体はどんな権限(負担)が増えたのでしょうか?

1)自治体は、立入して調査をする権限が付与されました。
2)自治体は、空き家情報を利用する権利が付与されました。
3)自治体は、「特定空き家」の除却等をする権限が付与されました。

これ結構すごいことですよね。景観を損ねる空き家は、自治体の判断で除却、修繕、立木竹の伐採、その他周辺の生活環境の保全を図るための必要な措置ができちゃうんです!

「あんたのところの空き家が、周囲の景観を乱すので、改修してくださいね。」なんてことを自治体の判断でできちゃうということです。

まあ、そんな嫌がらせのようなことをしても、自治体にとってはメリットが少ないので、現実的にはありえませんが、周辺住民が該当の空き家に対して、困っていた場合は、自治体の権限で改修を命ずることができたので、水戸黄門の印籠ができたようなイメージでしょうか。

問題の解決に自治体が動くと、残念な結果が

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でも、自治体にしてみれば、そんな権限もらっても。。。という気がします。勝手に壊してオーナーとトラブルになる可能性もありますし、そもそも自治体の人ってそういうタイプの人は少ない印象があります。どちらかというと、事なかれ的な。。。
いや、印象で判断するのは良くないですね。

では、自治体にとっては負担が増えるだけなのでしょうか?実はこの法律、空き家の所有者が、命令や指導に従わない場合、土地についての固定資産税の減免措置から除外することができるのです。具体的には、

・200平米までの小規模住宅用地=1/6の減免
・小規模住宅用地以外の住宅用地=1/3の減免

という内容になっており、空き家の所有者は、空き家の改修を行うか、税金が上がるかの二択を迫られる内容になっています。

こちらの記事でも書かれていますが、自治体にとっては、空き家対策に対しての人もカネも足りないというのが現状のようです。

高松市は、所有者を把握しやすくなった分、命令に応じてもらえず行政代執行に至るケースも増えるのでは、との懸念を抱く。

市が昨年行った実態調査では、特定空き家に相当するのは935戸。撤去費用は1戸あたり300万〜400万円で、仮にすべて撤去すれば30億円前後かかる。所有者からの費用回収が困難な場合も予想され、担当者は「市民は多額の公費負担に納得するのか」と今から頭を悩ませている。

このように、法律でお役所を動かすと、税金を使う形になるので、ものすごい税金が空き家の改修に必要となります。これは、本当に納税者が望む税金の使い方なのでしょうか?税収アップでその分をあてればいいという考えもありますが、そもそも、お金がない。と税金すら徴収できないケースの場合、結局は税金で補うという方法しかありません。

まだ始まったばかりの空家対策特別措置法

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とはいえ、この空家対策特別措置法は、まだ始まったばかりの手探りな状況です。全国の自治体には、優秀な人たちがたくさんいるはず(難関の公務員試験を突破した方々ばかりですから)ので、全国各地のそれぞれの取り組みを見守って、是非とも素晴らしい成果を上げてもらいたいと思います。

ただ、継続可能な取り組みとするには、民間が継続的に利益が出せるような仕組みにしないと、税金が上がるだけという残念な結果をうみやすいのではないでしょうか?そうなると、前のエントリーになっちゃいますが、空き家を簡単に貸せる仕組みも並行して進めて行くべきではないかと思われます。

どうしてこうなった、「空家対策特別措置法」

明日は、通常営業でーす。

著者投稿者 横川
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