なぜ、あれだけ叩かれてもアリさんマークの引越社は倒産しないのか?
こんにちわ。引越しラクっとNAVI(@hikkoshinavi)の横川です。
今週火曜日に放送された、ガイアの夜明け。「密着!会社と闘う者たち 第2弾」というテーマで、いくつかの企業の労働者vs企業という構図で、番組が進行していました。
今回、取り上げられたのは、しゃぶしゃぶ温野菜のFCを運営するDWE社と、アリさんマークの引越社でした。
実は、アリさんマークのお話は、このブログでも過去に取り上げたことがあります。
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しゃぶしゃぶ温野菜でのお話は、この引越しのブログとは、ちょっと遠いので、今回は割愛します。
今回のガイアの夜明けでは、アリさんマークの引越社と、従業員間でのトラブルはおおきく2つありました。
・残業代の未払いがある
・配置転換は不当だ(遅刻2回でシュレッダー係へ配置転換)
この二点について、企業vs労働者という戦いが繰り広げられていましたが、まだ番組を見ていないひとのために、結論からいいますと、2つ目の不当な配置転換については、会社が全面的に非を認めました。
この番組を見た、ツイッターでの感想を拾ってみます。
#ガイアの夜明け
アリさん引越社に二度目の公開死刑を執行する #テレ東 は凄いと思う。社会問題を指摘することや、陽の当たらないビジネスを特集して応援したり、ジャーナリズム精神が伝わってくる。— Kawawaki Hiroyuki (@kawawaki) 2017年7月25日
ブラックバイトで話題となったしゃぶしゃぶ温野菜のDWEはこの期に及んでもまだ争う姿勢をみせ、ヤクザまがいの恐喝で話題になったアリさんマークの引越社で以前取りあげられた人はシュレッダー係のまま。これだけ報道されてても非を認めない会社って・・・ #tvtokyo #ガイアの夜明け
— モルディオ (@morudexio) 2017年7月25日
アリさんマークの引越社がヒアリだったな。非あり。つってなー!!
— 高木さん (@kyatapirasu) 2017年7月25日
シュレッダー係りに異動させられてから数年ぶりに元の営業職にようやく戻れることになった小栗さん。現場復帰の第一声が「ワクワクする」「早くお客さんと話したい」涙出るよ。会社の宝じゃん。 #ガイアの夜明け
— bluebird (@yamaaraara) 2017年7月25日
アリさんマークの引っ越し社「営業職に戻してやるから引っ越し作業につかう段ボールを公共交通機関か自転車で運べ」
こんなことを社員に命じる会社に勤めてる他の社員はどう思ってるんだろう。#ガイアの夜明け— SANZAIDER BUNA HEINZ (@k2project) 2017年7月25日
会社が非を認めて、全面的に従業員の希望通りの配置転換を行ったにも関わらず、ツイッター上では厳しい言葉が多かったです。これは、この配置転換に至るまでのプロセスが、まずかったんだろうなぁと。。。簡単に時系列にまとめますと
・アリさんマークの引越社、元従業員による、組合が発足
・現役社員である、小栗さん(仮名)が、組合に加入
・小栗さんが、配置転換(営業→アポイント係)
・小栗さんが、遅刻2回で配置転換(アポイント係→シュレッダー係)
・配置転換不当として、争うと懲戒解雇
・懲戒解雇不当で争い、小栗さんの主張が認められ復職するもシュレッダー係
・会社から和解案として、小栗さんが営業部へ配置転換
(ただし、営業車両は使えない。公共交通機関か自転車のみ)
・事実上、営業ができないので、小栗さんはこの和解案を一蹴
・会社と小栗さんとで一部、和解が成立。小栗さんは営業職として復帰(営業車両も使うことができる)
という感じでしょうか。この流れを、番組ではざっと紹介されていたので、結果的に和解したものの、過程がひどいということで、ネット上では叩かれているのだろうと予想されます。
ただし、まだ残業代の未払いは決着していないので、ガイアの夜明けでも、このお話の続編があるでしょう。
なぜ、こんなに印象が悪いのに、会社はつぶれないのか
ネット上で炎上すると、業績が悪くなることがあります。ですが、ネットよりも多くの人にリーチできるテレビで、このような企業のマイナスなイメージを出されると、企業としては、存続の危機になってもおかしくないはずです。
ですが、今現在、アリさんマークは、通常通り営業していますし、もしかしたら増収なのではないか?とすら、考えています。ネットや、テレビの影響が小さいとは考えづらく、現金収入なので潰れにくいという側面もありますが、僕は引越業界の市況的にアリさんマークの引越社が潰れない理由があると考えています。
それは、引越業界が、 「需要 > 供給」という構図に、かなりなりつつあるからです。
今年の繁忙期、このブログでもなんども書きましたが、働き方改革による引越会社の労働環境の見直しが行われた結果、大手の引越会社は例年よりも少ない引越件数しか、受け付けることができませんでした。
僕たちの試算では、大手引越会社は、繁忙期間中だけでも、約50,000件以上のお引越しを、お断りしたと考えています。
その結果、中小の引越会社へ依頼が流れることとなりました。事実、お取引先の中小の引越会社は、特需だとよろこび、事業規模を拡大する会社が相次いでいます。
この大手を中心とした受注の抑制は、大手の引越会社の設備投資(人員体制も含める)が、準備できるまでの間は、続いていくことは明白です。繁忙期とは呼べない時期でも、需要が増えたというよりも、供給が減っているので、例年に比べて、トラックの手配が難しく、料金も上がっています。
その結果、アリさんマークの引越社を含めた、中小の引越会社は、大手が受け切れなかったお引越の受け皿となっているのです。
ちょっと余談ですが、アリさんマークの引越社が、中小!?と思うかもしれません。アリさんマークの引越社はエリアも広域で、テレビCMもうっているので、大手の引越会社と見られがちですが、大手引越会社とは、全国対応している6社を指すことが多いです。
・サカイ引越センター
・アート引越センター
・日本通運
・ヤマトホームコンビニエンス
・ハート引越センター
・ハトのマークの引越センター
まとめ
奇しくも「働き方改革」で従業員を守ろう!と国が動いた結果、従業員と紛争中の会社の業績を守ったという、笑えない結果になった気もしますが、一時的かといえば、そうでもないと思います。
ガイアの夜明けで取り上げられると、非常に大きな影響があると思います。さらに、内容が内容だったので、ネット上でもかなり賑わっています。
ですが、それでも業績が大きく落ち込まないどころか、上ぶれている可能性すらある状況が、いまの引越業界だと思います。
かっこいい業界ではないので、人材確保が難しく、ネット通販とのトラックの取り合いになっているので、引越し料金も下がらない引越業界では、需要に対して、供給量が減ったことは、各社実感しています。
ここぞとばかりに、引越料金も値上がり傾向にありますので、アリさんマークの引越社のように、中小の中でも大規模の引越会社には、依頼が入りますし、いま仮に潰れたとしたら、業界的にはさらに需給が逼迫する状況になるので、全体的な引越料金は今以上に上がります。
ですから、需給がいまの状況から大きく改善する見込みが少ないことから、この先、大きく業績が下がる可能性は小さいと考えています。
だからと言って、従業員に対して、ぞんざいに扱っていいわけではないことは、間違いありません。これからも、動向を見守っていきたいと思います。
また、引越料金は、足元をみられやすい状況にあることは、間違いありませんので、「御社以外に見積もり取ってないから、安くして!」なんて、言った瞬間に、値上がり確実なので、絶対に言わないようにしましょうね。