IKEA家具でも壊さず運べる! 2018年、お引越しするための新たな方法。
こんにちは。
今回のエントリーでは、以前より当ブログ内で何度も話題にしている『IKEA家具引越しできない問題』に新たな動きが見られましたので、そちらを読者の皆さまへお伝えしたいと思います。
過去のIKEA家具関連の記事はこちら↓
合わせて読みたい!
で、「新たな動き」って何なの?という話になるのですが、その前にこれまでの問題点をおさらいしましょう。(過去の記事を読むのが面倒な方も、おさらいだけはチェックしておいてくださいね。)
引っ越し見積もり料金 簡易シミュレーション
おさらい「IKEA(イケア)家具、だから引越しできない」
引越しの際、よく引越会社さんが問題にしているのが
1:たくさんの釘やネジが使われていて
分解・組み立てがめちゃくちゃ大変2:組み立て時に接着剤を使っている
→分解できない・すると壊れやすい3:木材に直接ネジや釘を打つことが多く、
ネジ穴が緩みやすい4:背板が薄く、強度に不安がある
(主にタンス類)
この4点。
訪問見積や電話見積の際に、「お荷物でIKEAの家具はございませんか?」と聞かれた方も多いのではないでしょうか。実際、私も引越会社勤務時代は似たようなことをお客様に確認・ご案内していました。
とある企業さんとの出会い
先日、弊社で運用しているTwitterアカウントにて何度目かの「IKEA家具問題」をツイートしたところ、同じ時期にこのようなツイートを見つけました。
IKEA家具の引越について。
引越し屋さんに相談して家具に対するネガティブな提案があった場合
例えば
『家具が弱い』『絶対壊れる』など
それは引越し屋さんの立場に立った意見であり、お客様側に立った意見ではありません。
なぜならどんな組立家具でもカグッコシ!は解体して再度組立できるから。— カグッコシ! (@kagukkoshi) 2018年1月4日
『引越し屋さんの立場の意見』であって、『お客様側に立った意見ではない』という内容に目からウロコ。確かにこれまで引越会社の方々からのご意見ばかりを取り上げていたように思います。「運べないから気をつけて!」と警鐘を鳴らすばかりで、本当にIKEA家具を運びたい人へ向けて解決策をご案内できていなかったな、と反省しました。(過去記事で、「○の力で何とかする」というのはありましたが・・・(笑)。)
そこで、思い切ってこの「カグッコシ!」さんにコンタクトを取ってみました。
カグッコシ!(株式会社FAworks)http://www.fa-works.co.jp/
2018年1月よりサービスを開始した、兵庫県の会社さんでした。トップページに書かれた言葉たちが胸に刺さります。
それならば、見せてもらいましょう!
『どんな組立家具でも解体して再度組立できる』とおっしゃるなら『じゃあ、実際に見せてもらおうじゃないですか!』と思い立ち・・・ビューンとひとっ飛び兵庫県へ。「カグッコシ!」さんの倉庫へお邪魔してきました!
今回、お話を伺ったのは「カグッコシ!(株式会社FAworks)」の柳澤取締役。いきなり偉い人とのご対面に緊張したことはナイショです。
今回の標的(ターゲット)
■PAXワードローブ 黒(W100cm × H201cm)
どーん!!!!! 圧倒的存在感。でかい。
ぱっかーん!!!! 中はこんな感じ。頑張れば、6人くらい中に入れそうです。
洋服をかけるハンガーポール(棒)と、棚板、そしてカゴが二つ。これを、柳澤さんお一人でバラして組み立てまでやってくださるとのこと!・・・大丈夫ですか?
柳澤さん:「倉庫内の作業は足場も広いので、この程度なら一人で問題ないですよ!」
なんと心強い。
それでは、早速バラしていただきましょう!
※注)個人宅での作業では安全面に配慮し、基本的に2名以上で作業を行います。
秘密道具をチェック
まずは持ち物を拝見。プロはどのような道具を使うのでしょうか。
ん?掃除機??
何種類もの工具たち。工具ってなんかカッコいいですよね。
バラバラバラ・・・
まずは、中のカゴと棚板を外します。
続いて扉。(柳澤さんの電動ドリルは、照明付きでした! 暗い作業もラクラク。)
この金具、面白いくらいに一瞬で外れました。
扉の金具はこんな感じ。
この二つの金具の連結部分をドリルで外せば、パカッと扉が取れました。
扉が外れたら、全体を横に倒して背板を外していきます。背板は・・・あー、やっぱり釘打ちされてる! これは外すの大変そうだ・・・。
カンカンカン!とリズム良く釘抜きを叩き、2~3秒ほどで一本抜けちゃいました。
「あれ? もしやこれなら楽勝?」と希望の光が見えたのも束の間、気付いてしまいました。
・・・その釘の数に。
見えますでしょうか。
ぐるり一面の、釘・釘・釘!!!!
もう釘だらけ。私だったらここで心が折れます。約15~20cmくらいの感覚で打たれている釘たち。もう一度お伝えします。このワードローブのサイズは、W100cm × H201cm 。数字に強い方は計算してみてください。
どうやら引越会社さんが問題にしていた
1:たくさんの釘やネジが使われていて
分解・組み立てがめちゃくちゃ大変
は、正しかったようです。
それにしてもこの「釘抜き」、あまりにも柳澤さんが簡単そうにやっているので「これなら根気さえあれば自分でもできそうですか?」と聞いてみました。
柳澤さん:「ご自身でも可能ですが、抜く時の角度に気をつけないと簡単に穴が広がっちゃうので、その点だけは注意してほしいですね」
↓ 柳澤さんにお願いして、わざと下手くそに抜いてもらいました。(右側)
斜めの状態で無理に抜いてしまうと穴も広がり、背板の表面も大きく剥がれてしまいます。(剥がれた板の破片が釘にくっついてしまいました。)
3:木材に直接ネジや釘を打つことが多く、
ネジ穴が緩みやすい
これにも注意が必要ということですね。
私には気の遠くなる釘の数でしたが、柳澤さんはお話をしながら軽快にどんどんどんどん抜いていき、5分ほどで全ての釘を抜いてしまいました。速いっ!!
抜き終わった釘たちの姿がコレ。
「組み立て時にボンドを多用している」は伝説だった。
無事に背板も外れ、残るは天板&床板と側面の板。
パカっ!!!
え? 手で外れちゃうの??
天板・床板と側面の板は、木製のビスで繋がっていました。板に残ったビスはペンチで取外します。
ここで疑問。
私はこのようなビスを使用して組み立てる際、てっきり強度を増すためにボンド等の“接着剤”を使用しているのだと思っていました。
柳澤さん:「ここ数年のIKEA家具で、ボンドを使う製品はほとんどないですよ」
そうだったのか・・・。
2:組み立て時に接着剤を使っている
→分解できない・すると壊れやすい
これは、間違いだと知りました。
そしてあっという間に・・・
綺麗にバラバラになった板たち。
これだけの釘・ネジ・ビスが使われていました。多い。1本でも無くしてしまったら泣きそうです。
ここまでの所要時間ですが、何度も撮影で中断させてしまったり説明に時間をかけていただいたにも関わらず、約30分足らず。想定していた時間(分解だけで1時間はかかると思っていた)を大幅に短縮しての作業完了でした。
そして、元通りへ・・・
次は組み立て作業!・・・なんですが、先ほどの作業が綺麗に逆再生(組み立ての方が更に短時間で終了しました)でしたので写真は割愛させていただきます。
柳澤さんがおっしゃるには、
『IKEA家具は、組み立てよりも解体(分解)の方が難しい』んだそうです。
運べるサイズまでに分解する際、実は「外さなくても良い部品」があるそうです。外してしまうことで組み立てが困難になる金具もあるそうです。(今回の分解作業時にも、いくつか残してある金具がありました。)そこはプロの目で見てもらった方が安心できますね。
IKEA家具は組み立てよりも解体が大変なんです😨
説明書を逆行すればいいというものでもなく、取らなくてもいい部品などもあるので専門業者へご依頼いただきたく思います。https://t.co/PAkiy3xxgS https://t.co/ps4H5VFqqy— カグッコシ! (@kagukkoshi) 2018年1月28日
↓引用RTの元ツイートはこちら
それもあるけど、、、、ネジの位置とか普通の家具と違うんだってさ、、、、A外したらa取れるみたいなやつがIKEAだとA外すとBとCが取れるみたいな、、、、
(元アート引越センタースタッフ)— ミツ🔥テンフィ仙台 (@____9w) 2018年1月26日
うん。確かに複雑そうな構造のネジもありました。(2017年12月の記事より)
ちなみに組み立ての際、柳澤さんは外した釘ではなく新品の釘を使っていました。
愛用の釘ボトルは、ガムのケース。よく見ると様々なサイズの釘やネジが入っています。
新品の釘を使う理由は・・・
柳澤さん:「組み立て時に釘を新しくしたり、ネジをしっかり締める『メンテナンス』をしてあげることで家具の強度も上がって、お客様にまたお気に入りの家具を長く使っていただけますから」
「引越しで運びたいから」と言う理由でしかたなく行っていた分解・組み立て作業が、実は家具の『メンテナンス』のチャンスにもなるとは思ってもいませんでした。
※カグッコシ!さんのホームページよりお借りしました。
引越会社さんも、IKEA(イケア)家具も・・・誰も悪くなかった
ここまでご覧いただき、『やっぱりIKEA家具、大変じゃないか!』と思われた方も多いと思います。
そうなんです。大変なんです。
だからこそ、『自己責任』でやるか、『専門の会社にお願いする』か、選択肢は2つなんです。引越会社さんに「IKEAの家具、分解して運んでよ」と言うのは、同じ“小麦粉を扱っている”という理由だけで、パン屋さんに「うどん打ってよ!」と言っているようなものなのです。
・・・例えがちょっとヘタで申し訳なかったのですが、そもそもの「必要な知識」「必要なスキル」「使う道具」が全く違うものなんだと実感しました。
IKEA家具の分解・組み立ては、引越会社さんの仕事ではありません。
ちなみに引越会社さんでもなんとか作業できそうなギリギリラインについては、12月の記事をどうぞ。
※この記事、柳澤さんにも見ていただきましたが「引越会社さん側の判断としては、間違ってないですね」とお墨付きを頂きました。
モノを大切にするということ
こちらは、実際のご家庭で作業をしている様子。
かなり大型のクローゼットなので4名作業です。高さも天井に届きそうなほど。
脚立を使っての作業になりました。これは素人にも引越会社さんにも難しそうだ・・・。
IKEA(イケア)家具の魅力
ここまで大きなクローゼットをお客様が運びたかった理由を尋ねたところ、IKEAの魅力のひとつである『圧倒的な収納力』と『自由度の高さ』ではないかという回答でした。確かにIKEA家具をはじめとする「組立家具」の特徴として、棚板の高さをかなり細かい単位で調整できたり、好きなパーツを後で追加できたりするものが多く見受けられます。
自分の持っている洋服の種類に合わせてハンガーポールの高さを調整したり、好きな本がぴったり入るように棚板を調整したり、小物を入れる引き出しを追加したり・・・そうやって『自分好みにカスタマイズ』した家具は愛着も沸きますし、引越先でも使いたくなるはずです。収納力の高さは、「IKEAのタンス、捨てようと思って中身を出したら『こんなに入っていたのか!』と途方にくれました。」とおっしゃるお客様も多かったことからもうかがえます。
センスの良いデザイン・圧倒的収納力・自分好みにカスタマイズできる懐の深さ、そして、良心的な価格。これがIKEA家具の魅力と言えるでしょう。捨てるの、もったいなくないですか?
弱点を 補うことで 増す安心
しかし、今回実演していただいたワードローブのように背板が薄い家具も多いIKEA。
4:背板が薄く、強度に不安がある
(主にタンス類)
こちらに関しては、先ほどの多過ぎるとも思われる『釘打ち』のおかげで強度が保てているそうです。IKEA家具に釘が多い理由は、これも関係していたんですね。
そのまま運ぶのは絶対におすすめできませんが、日常で使用する分の強度には問題が無いことが分かりました。柳澤さん、海外ではこれが普通なんですよね?
柳澤さん:「海外の家具は、室内に設置する時に『壁や床などに直接固定』をするのが一般的なんですよ。日々の扉や引き出しの開け閉めで起こる「衝撃」が少しずつ傷みやゆがみに繋がっていきますが、建物に固定すればそれが大幅に軽減されるんです。」
なるほど。「たくさんの釘」+「建物に固定」。
これで背板の薄さは問題にならないということだったのか。
柳澤さん:「日本だと賃貸物件の原状回復のルールが厳しかったり、そもそも家具を固定する習慣があんまりなかったですからね。でも年々『地震対策』として家具を固定するご家庭が増えてきているんです。それはとても良いことだと思います。家具のためにも。」
販売元のイケア・ジャパンでも家具の固定設置を推奨していました。
※画像クリックで、IKEAホームページの該当ページへ飛びます。
地震や転等事故への対策だけでなく、家具のためにもなる建物への固定設置。最近は防災グッズとして販売されている「突っ張り棒タイプ」の固定器具も人気ですので、穴あけが厳しい物件にお住まいの方はそちらを是非検討していただきたいです。
「IKEA家具は壊れやすいと思われがちですが、もともと長く使える家具なんです。正しい組み立てが出来ていなかったり、設置環境が悪くて痛んでしまったり。そんなことや引越しを理由に、まだまだ使える家具を捨ててしまう方がいるのは悲しいですね」とおっしゃっていた柳澤さん。
実はカグッコシ!さんは、もともと家具屋さんからの依頼で新品の家具を組み立て&設置する会社さんでした。自分たちが心を込めて組み立てた家具が、まだ使えるのに捨てられちゃうのは確かに辛い。柳澤さん、本当に家具が大好きなんだろうなぁ。
あきらめなくても良かったんだ
今年の1月に設立したばかりの「カグッコシ!」さん。理由は、お客様から『引越会社にお気に入りの家具を持っていけないと言われて困っている』というご相談が増えてきたからだそうです。
柳澤さん:「引越屋さんは、荷物を運ぶプロ。僕たちは家具のプロなんです。それぞれのプロがお互いの持ち場をしっかりこなせば、希望通りの引越しは必ず実現します。」
今回、柳澤さんへの取材で一番嬉しかった言葉。
「お気に入りの家具、持って行けますよと、もっと広く世の中に伝えたいですね。」
・・・私もそう思います。あきらめなくて良かったんだ!!!
現在、カグッコシ!さんがサービスを提供しているエリアはこちら。
※画像クリックで「エリア情報」ページへジャンプします。
兵庫県の会社さんですが、関西エリアに加えて関東も対応可能です。(詳細は上記画像をクリックしてご確認ください。)
また、「とは言っても、料金が高いんじゃないの?」と思われる方もいらっしゃると思います。参考までに料金比較の一例がホームページで公開されていますのでこちらをどうぞ。
※こちらも画像クリックで詳細情報ページへジャンプします。
新品購入(商品価格+配送・組立サービス利用)の場合との比較ですが、もし現在使っているものを廃棄する場合には、その料金に更に「処分料金」も追加になります。そう考えると、コスパも悪くないんじゃないでしょうか。「メンテナンス」付きですし。
実際にサービスを利用したいと思った場合、どのタイミングで依頼すれば良いのか・・・? 疑問に思ったので聞いてみたところ、『最短で2日後以降だったら対応できますよ』とのことでした。ただし、今のような春の引越しシーズンは予約が殺到するため、早めにご相談されることをオススメします!
今のタイミング(2月下旬)で、すでに3月の「土日」は多くの予約が入っており、かなり混みあっているそうです。(このあたりは、引越しの繁忙シーズンと同じなんですね。)春に限らず「土日」に予約が集中するそうなので、土日希望なら『1週間前』、それが更に「3月の土日」なら、『2週間前』までには相談していた方が良さそうです。引越しの見積り手配と同じタイミングで進めていけば、問題無いと思いますよ。
固定概念は崩せる
家具に対する熱い思いを語ってくださった柳澤さんにご挨拶し、今回の突撃取材は終了です。今まで自分が持っていた「IKEA家具に対する固定概念」が見事にひっくり返るという、衝撃的な体験でした。もっと多くの人に知って欲しいです。特に引越業界で働く方々に。
引越屋さんが知ることで、『IKEA家具??無理無理!!』みたいな拒絶反応を受けてしまうお客様を減らすことができます。また、『IKEAの家具って引越しで持っていけないんでしょ?だったら買うのやめようかな』って思っている方、多いと思います。その原因の一端を、当ブログも担っていました。今回、このような機会に恵まれて本当に良かったと思います。
最後に帰り際、振り返って見上げたカグッコシ!さんの倉庫がかわいかったのでパチリ。
(スタッフさんの手作りだそうです! さすが家具のプロ!)
柳澤さん、スタッフの皆さんありがとうございました!
長年追っていた「IKEA家具引越しできない問題」に新たな光が見え、嬉しい気持ちで東京へ戻りました。今、泣く泣くあきらめようとしている方に、この光が届きますように。
それでは、また。