【2018年6月より】引越しキャンセル料金の値上げとその本音、断れない日本人の最適な断り方

年末にちょっとしたニュースになっていましたが、いよいよ2018年6月1日より標準引越運送約款の改正に伴い『引越し解約・延期料の値上げ』が施行されます。

引っ越し見積もり料金 簡易シミュレーション

  • 1引っ越し時期
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平均
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最安値
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最高値
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  • ※引越しラクっとNAVI ® の実際の引っ越しデータから算出しています。
    期間:2017年1月~2019年6月実績
  • ※引越し見積もり料金や、実際の引越し料金を保証するものではありません。
    お引っ越しの際には、見積もり取得をお願いします。


※国土交通省「報道発表資料」より
大手引越会社を始めとする日本の多くの引越会社がこの「標準引越運送約款」のルールに基づいて営業をしています。上記資料にもありますが、変わった部分はここです。

キャンセル・延期を申し出た日が・・・
・引越し当日→(旧)運賃の20%以内
(新)運賃及び料金の50%以内
・引越し前日→(旧)運賃の10%以内
(新)運賃及び料金の30%以内
・引越し前々日→(旧)なし
(新)運賃及び料金の20%以内

ここで気になるのが、追加された「及び料金」の文字。これって何の料金でしょうか。下記の東京新聞のイメージ図が分かりやすいです。


※『東京新聞 TOKYO Web』より引用

この記事ではざっくり『人件費』となっていますが、約款ではこう定義されています。

見積運賃等(料金にあっては、積込み、取卸し、搬出、搬入、荷造り及び開梱に要するものに限る。)

この定義により、解約手数料の対象に「荷役作業員料(荷物を運ぶ作業員の人件費)」や「梱包・開梱作業員料(荷造り・荷解き作業員の人件費)」などが追加となりました。つまり、実費で支払う資材代や高速料金・クレーン車など特殊車両使用料以外の、ほとんどの料金が手数料の対象となったわけです。当日キャンセルの場合は、これまで数千円だった手数料が、契約した引越料金のほぼ半額になるイメージですね。引越料金は大幅な値引きをすることも多いので、値引き前(定価)の対象料金×50%だと、キャンセル手数料が引越料金の半額以上になる可能性も高そうです。

このニュースは新聞各紙でも取り上げられました。運送業界ではこの大幅な値上げは結構大きなニュースだったのです。この解約(キャンセル)料の引き上げ、目的としてはもちろんキャンセルや延期に伴う損失費用の補填の意味もありますが、それ以上に引越業界が狙いたいのは直前の「キャンセル件数を減らすこと」。
それくらい、直前のキャンセル・延期は引越会社にとって痛い

上記の東京新聞の記事にもありますが、インターネットの普及に伴い簡単に相見積りを取ることができるようになった反面、簡単に引越日直前のキャンセルや、ひどい場合は連絡無しで当日キャンセルをするようなユーザーが急増し、引越会社を苦しめていました。

なぜ、直前のキャンセル・延期がそんなに『痛い』のか。

その理由は、引越会社の引越しの手配方法(スケジュールの組み方)にあります。

なぜ、直前のキャンセル・日程変更は困るのか

皆さんが引越会社に引越しを依頼する時、まずは見積りを取ると思います。満足のいく内容だったら引越会社と契約をします。その契約を交わした「あなたの引越し」、実際に当日引越しを担当するスタッフやトラックが手配されるのは、いつのタイミングだと思いますか?

引越会社の引越しの手配方法(裏側編)

再び、国土交通省の資料より。
引越会社が『いつ』、作業スタッフやトラックを手配するのかのアンケート結果です。

※国土交通省資料より
この調査結果、数字の見方がちょっと難しいのですが・・・おそらく引越会社・回答者によって質問内容の捉え方が若干違うのではないかと思います。

人員(作業スタッフ)・車両(トラック)を手配するには、まず、その日に何件の引越しの予約が入っていて、どういうルートで引越しをこなせば効率が良いのかを考え、必要な人員数・車両数を算出する必要があります。(こういうトラックに引越しの予定を当て込む作業を、運送業界では『配車(を組む)』と呼びます。)
1週間以上前』と答えた引越会社数が一番高い数値となっていますが、これは「時間指定便」の引越受注件数に基づいた人員「数」・車両「台数」の手配日だと思われます。

例えば、朝の9時から作業スタートする引越しが5件あった場合、朝から5箇所に向かう必要があるため、トラックは必ず最低5台は必要になります。その5台のトラックで残りの午後の時間指定便も対応できるのか、更にトラックを用意しなければならないのかを、担当者は配車を組みながら判断します。基本的に、引越しのトラックは1日に1件だけではなく、数件の引越しをこなします。(午前中に1件、午後に1~2件のイメージ。)これは、日々の予約状況で変わっていきますので契約が取れ次第、順次、予定を組み込んでいくことになります。

そのため、もしあなたの引越しが時間指定便での引越しだった場合、契約後ほぼすぐに「運行予定の1件」としてカウントされ、予定に組み込まれます。(しかし、この時点では具体的に「どのスタッフ・トラック」が行くのかまでは、決まっていない可能性が高いですが。)

では、アンケート結果で次に多かった『3日前』。ここで手配するのは何か?
それは「フリータイム便」の引越しです。このフリータイム便の引越しは、その名前の通り『フリータイム(時間指定無し)』での契約です。時間指定便である程度スケジュールが埋まったトラックの予定が空いている時間帯(枠)を埋めるようにしてフリータイム便の配車は組まれていきます。(おそらく3日前と答えた引越会社も、すべての人員・車両を3日前に手配するわけではないと思いますが・・・。)

簡単に言ってしまえば、フリータイム便は時間指定便の穴埋めのための引越

あなたの引越しが、このフリータイム便だった場合、その引越し手配は契約と同時ではなく、引越しの直前(大体2~3日前)までは浮かせておいて、ある程度時間指定便で予定が組まれたら、その穴を埋めるように配車を組んでいくのです。その時に初めて「どのトラック」「どのスタッフ」が担当するのか、運行予定に組み込まれるのです。「穴埋めの引越し」と言うと表現は悪いですが、引越会社にとって「都合の良い引越し」になるため、その分、引越料金も時間指定便に比べればはるかに安い金額で提示されるはずです。
※引越業界用語「浮かせる(浮いている)」= NAVIpedia「う」参照。

さて、あなたの引越しを誰が・どのトラックで担当するのか、運命の分かれ道となるこの配車。引越会社が具体的にどうやって予定を組んでいるのか、見てみましょう。

とある引越会社で、2tトラックが3台あったとします。引越し3日前の状態で、この3台のトラックには上記のように各チームに時間指定便の引越しの配車が組まれています。

この空いている(1)(2)(3)の枠に、フリータイム便の引越しを埋め込んでいきます。
下記のフリータイム便で契約をしている、Aさん、Bさん、Cさんの引越しを、スムーズにこなせるように配車を組んでみましょう。

Aさん、Bさん、Cさんの引越しを、それぞれ(1)(2)(3)のどの枠に組み込むのが一番効率的でしょうか?

答えは・・・

 (1)の枠にAさん(埼玉県~東京都)
(2)の枠にCさん(東京都~埼玉県)
(3)の枠にBさん(神奈川県~東京都)

このような答えになる理由は、前後に行う引越しの場所です。

「埼玉県」で引越しを開始するAさんの引越しは、2件目の引越しが「埼玉県」で終了する1号車チームの(1)が一番効率良く向かうことができます。同じように「神奈川県」から引越しをするBさんの引越しは、1件目の引越しが「神奈川県」で終了する3号車チームの(3)に当て込んだ方がスムーズです。


Cさんの引越しの例が一番分かりやすいですが、2号車チームの(2)にCさんの引越しを入れることで、当日のトラックの移動コースが、神奈川県(1件目の積み)→東京都(1件目の降ろし)→東京都(Cさんの積み)埼玉県(Cさんの降ろし)→埼玉県(3件目の積み)→東京都(3件目の降ろし)と、無駄な移動がなくスムーズに回ることができます。

実際にはこんなに綺麗に配車が組めることは珍しいですが、それでも極力無駄を減らすように配車担当者は日々、頭を悩ませています。(ベテランの配車担当者は、10台以上のトラックコースをパズルのように見事に組んでみせます! まさに職人技。)

6月1日の引越しと、6月2日の引越しは同じ商品ではない

引越会社の配車(手配)方法、なんとなくお分かりいただけましたでしょうか。配車担当者はこれを毎日やっているわけです。このことを踏まえると、直前のキャンセルより罪(?)が軽そうな直前の日程変更も、なかなか罪深かったりすることもご理解いただけると思います。

例えば、6月1日の引越しを、直前に「2日に変更してください」と依頼した場合。
ユーザー目線では、「引越日が一日ずれただけ。引越しの内容は一緒でしょ?」と思っても当然なのですが、引越会社目線では「せっかく埋めた1日の2号車チームの枠がまた空いてしまう! この穴を埋める引越しをこれから受注することはもう無理! しかも2日は全チームのトラックが埋まっちゃってる! これから新しくトラックとスタッフの手配ができるのか・・・?」・・・と、頭を抱えてしまいかねない状況なのです。

下手すれば、スタッフもトラックも一から配車を組みなおす必要が出てきます。担当者から見れば、同じ商品のようでいて、当日その引越しへ向かう「ルート」も担当する「スタッフ」も「トラック」も違う「別モノの商品」のような感覚なのかもしれません。

引越会社目線では、引越日を1日だけずらすという感覚ではなく、6月1日の引越しをキャンセル、6月2日の引越しを新規契約というイメージです。そのため今回の約款改正では、解約料とともに延期料も同条件で値上げになります。

引越会社に聞く、驚きの『キャンセル理由』

見積りの時にあんなに熱心に説明してくれた、値引きをめちゃくちゃ頑張ってくれた、グイグイ来られて押し切られてしまった・・・キャンセルの連絡を入れづらい理由はたくさんあると思います。「断るのはかわいそう」と思うかもしれませんが、引越会社目線で考えると「答えがはっきりしないのが一番辛い!」。

お客様に「たぶんお願いすると思うんですが・・・ちょっと検討させてください」と言われた時、あなたの引越しが入るかもしれないと思ったら、引越会社はその引越しの枠を確保します。(営業マンの経験値にもよりますが「脈が無さそうだな」と判断した場合は、確保しないケースももちろんあります。)その枠が直前にキャンセルになった場合、もうその穴を埋められる可能性はゼロに近しいでしょう。キャンセルされるのはもちろん辛いですが、できればその傷は浅い方が良い。

そんな中、引越し前日にかかってきたキャンセルの電話で、引越会社さんから聞いた驚きの理由をピックアップしてみました。

今、カレンダー見たら明日は仏滅だったから。

キャンセルするのが申し訳なくて、連絡できませんでした。ダンボール必要ないので回収してください。

見積りは頼んだけど、契約した記憶がありません。(ダンボール受け取り済み・梱包済みの状態で)

前日にこれを言われた時の引越会社さんの気持ち・・・お察しします。

それでも、キャンセルができないあなたへ

確かに断りづらい、更なる営業を受けるのが嫌だ(怖い)、お気持ち分かります。
そんな、断れない心の優しい皆さんへの最終手段をお教えします。

それは、引越しラクっとNAVIで見積りを取ること。

すみません・・・思いっきり宣伝ですね。
でも、本当にお勧めしたいのには理由があって・・・、引越しラクっとNAVIでは見積り後、あなたが契約したい引越会社を選ぶまでは、あなたの個人情報は引越会社に伝えません(※各社の訪問見積りが必要な場合を除く)。また、あなたがマイページ上で好きな引越会社を1社選んだ瞬間に、他の引越会社に自動的にキャンセル通知が届きます。

もし気に入った引越会社が1社も見つからなければ、「引越し中止・お断り」ボタンをクリックするだけで、全ての引越会社にキャンセル通知が届きます。


つまり、キャンセルの連絡をする必要がまったく無いんです。

引越しの準備で忙しく、「見積りは取ったけど、選ぶのも断るのも忘れてた・・・」という方も多いと思います。(私の実体験です。)引越しラクっとNAVIでは見積り後、引越会社の選択やキャンセル依頼を忘れているお客様へ『アフターコール』のご連絡も差し上げていますので、忘れっぽい私のような人にはピッタリだと思います。

この仕組み、引越会社さんからも「白黒はっきりするのが早いから、受注できなくても早く他の引越しを受注するために動けるので助かる」といった嬉しいお言葉を頂いています。

・・・とまあ宣伝はこれくらいにして、最後に!
今回の改正で変わったのはキャンセル料金だけではなく、その料金の発生日も変更になっています。これまで「引越前日」から発生していたキャンセル・延期料金が、2日前から発生するようになりますのでご注意を!連絡は3日前までにしましょうね。

でも、願わくば・・・もっと早く連絡してあげてください。

それでは、また。

著者投稿者 今村
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