引越し料金の舞台裏
引越し料金が荷物の量や運賃(距離)で決まる、というのはある意味で「建前」の面があります。では、引越し業者の「本音」はどこにあるのでしょう。
多くの引越し業者では、売上予算を立てる時に「台売」という数字を設定します。「台売」というのは、トラック1台あたりの1日の売上高を示す業界用語です。たとえば、2トントラック1台に人員が2名の「チーム2トン」には10万~20万円。3トントラックに人員3名の「チーム3トン」であれば1日15万~35万円といったあたりがおおよその相場といっていいでしょう。料金に幅があるのは、通常期や閑散期と呼ばれるそれほど忙しくない時期と、3月などの繁忙期や土日といった多くの引き合いが予想される時期によって、1日あたりの売上げ予算に差があるからです。
ひとつのチームが1日に担当する引越しの件数は1~4件程度です。依頼する側からすると引越しは人生の節目となる一大事ですが、業者にとっては毎日の仕事。近距離であまり時間のかからない引越しであれば1日に4件もの引越しを扱うことさえあるのです。
つまり、引越し業者の営業マンが見積料金を算出する際には「どのチームを、何時間使うのか」「そのチームの台売予算はいくらか」ということが最も大切な判断基準になるのが実情です。
大手業者の単身パックなどは、公開している固定の料金表をもとに見積もりを提示しているので例外ですが、ほとんどの引越し業者では「台売」が見積金額の最重要ポイントであることを理解しておけば、引越し料金を節約するための交渉にも役立つでしょう。