悩み多き転勤族妻が、人生を100倍楽しむ術とは?
この記事はこんな方にお勧め!
- 夫の転勤による引っ越しを予定している方
- 度重なる夫の転勤にストレスを感じている方
- 転勤の多い職種の男性と結婚しようとされている方
「転妻」という言葉をご存知でしょうか。これは「転勤族の夫と結婚した妻」のこと。実はこの「転妻」の皆さんが抱える悩みが、近年社会的な問題として取り上げられつつあります。
夫の転勤に伴い各地を転々とする中で、ご自身やこどもの人間関係についてうまくいかないケースがあったり、ご自身のキャリアを築くことが難しくなったり…。転勤する夫本人は仕事上で様々なメリットを享受できますが、その妻には様々な苦労が発生します。
では転妻はどのようなことに悩み、それをどのように解決しているのでしょうか。今回は、転妻の生活事情に迫ります。
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転勤自体は素晴らしいこと
まず初めに、転勤自体はとてもポジティブなこと。というのも、転勤は引越し費用や社宅の提供等、少なからずコストが生じる人事異動制度ですが、それでも転勤させるのは社員を育てる、と言う大きな目的があるからです。
地域が異なればその地域独特の慣習やニーズもあり、その地域に合わせた市場戦略や事業運営が求められますが、社員を転勤させればそうした多様な地域ニーズに触れることができると共に、それに合わせたより高度な事業活動の経験を積むことができます。
その結果、社員は転勤によってより広い視野で物事を考えることができるようになるなど成長を期待することが出来るため、あえてコストを負担してでも社員を転勤させているのです。
一方で「転妻」の悩みは深い…
このように、 一言に転勤といっても多分に会社の期待や思惑を含んでいますが、概して 「地域性の強いビジネス」をしている業界は転勤が多くなります。 銀行や商社はその典型例で、例えば銀行では、行内の不正を防ぐという意味でも2~3年で各地を転々とします。他方商社においては、海外赴任なども可能性があり、 特に幹部候補生である総合職の場合は、上記にもある通り様々な地域性を学ぶ、という期待感のもとに転勤を命じられることが多いようです。その他にもメーカーや公務員、建設業など幅広い職種で転勤が見られます。
一方でそうした職種の男性と結婚された方、いわゆる転勤族の妻は、夫の転勤により住み慣れた土地を離れ、毎回一から新しい生活を作っていかなければならないわけですから、そこには人知れない苦労が伴います。中でも多くの転妻が悩んでいる点として、以下のようなものがあるとされています。
マイホームが持てない
自分たちだけの家を持つことは、「家庭」として安らげる居場所がある安心感を与えてくれますが、住宅ローンを組んで家を買ったとしても、そこに長く住めないのであれば持ち家購入のメリットは大幅に薄くなります。 ずっと賃貸に住み続けるという選択もありますが、それだと自分たちの財産にはなりませんし、資産がないという点で将来への不安もついて回ります。どのタイミングで家を買うべきか…。転勤に伴い、多くの方が頭を悩ませています。
友達を作りにくい
転勤した夫は職場で人間関係を作ることが可能ですが、一方で妻が専業主婦の場合、よほど社交的な方でない限り、新しい土地で友達を作るのはなかなか難しいもの(特に閉鎖的な地方に転勤した場合は…)。苦労して友達を作っても、また転勤となればその都度築いてきた人間関係がなくなり、また一からやり直し、となってしまいます。そのうちに人間関係をなんとなく敬遠し始め、知り合いがいない土地で孤独感が深まっていくというケースも…。
子どもの転校
子どもの立場からすると、引っ越しと転校が重なるということは、せっかくできた友達と離れるという思いを何度もすることにほかなりません。 ご自身の人間関係だけならともかく、子どもを同じような目に遭わせるのは辛い…。多くの転妻の皆さんがそのように考えていらっしゃいます。そのため、 子どもがいる場合、家族全員が転勤についていくのは、子どもが小学生ぐらいの時までの家庭が多いようです。中学生以上になると、人間関係に加えて受験も視野に入るため、夫が単身赴任をするケースが多くなります。
安定した仕事につきにくい
共働きの家庭の場合、夫の転勤が決まったら、妻は夫についていくか単身赴任をしてもらうかのどちらかを選択することになります。ついていくことを決めたなら、ほとんどの場合、妻はそれまでの仕事を辞めなければいけません。仕事を辞めるということは、長い時間をかけて築いてきたキャリアや人間関係も手放すということ。新天地で新しい仕事に就きたくても、次の転勤があるとなると長期の仕事を見つけるのはなかなか困難。この点については、本記事の後半で詳しく見ていきます。
単身赴任、家族で引っ越し、どちらが良い?
このように多くの悩みを抱える転勤族の妻にとって、夫の単身赴任は上記のような問題の多くを解決できる重要な選択肢になります。
・持ち家を売ったり、誰かに貸したりしなくて済む
・人間関係も安定する(いい方向にも悪い方向にも、ですが)
・子供も転校しなくていい
・もちろん仕事だって辞めなくていい
これだけ見ると、「それなら単身赴任のほうがいいよね?」ということになるかもしれませんが、もちろんそれに伴うデメリットもあります。
2世帯分の生活費がかかる
単身赴任になると、夫の生活費と家族の生活費が2重にかかるようになります。
単身赴任先の家賃くらいはある程度会社が負担してくれますが、満額支給の会社は少ないでしょう。もちろん家電家具などの調達費用や、生活費もそれぞれかかりますので、「単身赴任先の家賃+生活費」が今の家計に乗っかることになります。
もう1つ単身赴任特有の出費として、夫の帰省費用があります。 月に一度帰省するための交通費が出る会社もありますが、赴任地との距離や夫婦仲によってその回数も変わります。度々帰省したいという夫の場合は、その分交通費もかさむことになります。
夫の健康問題
ご存知かもしれませんが、男性の食生活は大概の場合はむちゃくちゃで、口を出さなければそのほとんどが外食やコンビニ弁当などで食事を済ませてしまいます。これに毎晩の飲酒などが加わると、にわかに夫の健康問題が浮上してくるわけです。健康問題はお金に変えられないもの。リアルなところでは、体調が悪くなった時の医療費も馬鹿になりません。
離婚の可能性が高くなる
単身赴任を続けていると、その世帯の経済力も体力も、徐々にすり減っていきます。考えてみれば夫が次のような状況にあるとしたら、いかがでしょう?
・家にはいつもいない(必要な時もいない)
・顔を見せるのは月に一度で、1人で寛いでいる
・(子どもがいる場合は)子育てに参加してくれない
あえて悪い風に書きましたが、多くの転妻がこうした思いを抱いているのも事実です。だからといって夫をないがしろにすると、徐々に帰ってくる頻度が減り、最後には夫婦関係にヒビが入るように…。単身赴任をすると離婚率が2倍になるというまことしやかな噂もありますが、これも決して大げさな数字ではないかもしれません。
単身赴任か引っ越しか…判断のポイント
ここまで見てきたように、転妻にとって単身赴任と引っ越しのいずれを選ぶかは、その後の生活を大きく左右する重要なポイントになりますが、最大の判断基準はもちろん夫婦それぞれの性格やライフスタイルになるでしょう。このあたりは2人でじっくり話し合うしかありません。
ただ、それ以外の要素として、大きな影響を与えるとされているのが(1)子供の学校進学(2)持ち家を購入(3)親の介護の3つです。このいずれかのタイミングが来たら、多くの方が単身赴任を選んでいるようです。逆に言えばそれまでは、時期が限られるイベントの1つとして、「転妻」として暮らすのも無駄にはならない経験であると言えるかもしれません。
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転勤族の妻は、働きたくても働けない?
ここまで、転妻の皆さんの多くの苦労を見てきました。そんな苦労が絶えない転妻の悩みのなかでも多く挙げられるのが、ご自身の仕事のこと。仕事が嫌なわけでもないのに、続けることができない…。世の転妻は果たして仕事に対して、どんな悩みを抱えているのでしょうか。
夫の転勤前は、仕事をしていた転妻が多数派
東急住宅リースの「ビジネスパーソンの転勤事情に関する調査2019」によると、「夫の転勤前には自身も仕事をしていた」と回答した転妻は、6割を超えました。自身も仕事をしていた転妻が多数派であることがわかります。
仕事がしたくても、正社員として働きづらい
仕事をしていた転妻の悩みで最も多いのは、雇用形態に関するもの。「辞める可能性があると思うと正社員として働きづらい」と答えた転妻は5割を超え、「夫が転勤族だと正社員として採用されづらい」と答えた転妻も4割以上でした。転妻は、正社員という雇用形態に難しさを感じていることがわかります。
また、「辞める可能性があると思うと仕事に打ち込めない」と回答した転妻も3割以上という結果に。夫の転勤が、自身の仕事に対するモチベーションに影響していると感じた方も多いようです。
さらに、「せっかく築いたキャリアを継続できずに悔しい」、「夫ばかりキャリアを継続してズルいと思う」という声も。キャリアを積み上げるのがなかなか困難な、転妻のリアルな仕事事情が垣間見られます。
転勤族の妻だって仕事がしたい!転妻におすすめの働き方
夫の転勤による引っ越しが多い転妻は、「仕事がしたくても採用されないのでは」、「せっかく仕事を覚えても続けられない」など、転妻ならではの理由で働きにくさを感じているようです。でも、働く意欲があるのに仕事ができないのは、とても残念なこと。近年、女性が活躍できる職場はますます増えています。
そこで、転妻でも仕事がしやすいおすすめの働き方をラインナップしました。仕事をするのは無理だろうと諦めずに、自分にフィットした働き方を探してみましょう。
契約社員、派遣社員
短期の契約で働くことができる、契約社員や派遣社員。万が一、夫に急な転勤の辞令が出ても、契約が短期間のため、正社員ほどまわりに迷惑をかけることなく済む可能性は高くなります。
契約社員は就業先と、派遣社員は派遣会社と、それぞれ雇用契約を結ぶことになります。派遣社員の場合、全国展開している派遣会社に登録すれば、転居先でも新しい仕事を探しやすいでしょう。
登録制アルバイト
週1日だけ、午前中のみなど、契約社員や派遣社員よりも、さらに手軽にフレキシブルな働き方ができるのが、登録制アルバイト。オフィス事務や倉庫での軽作業など、未経験者でもできる仕事が充実しています。キャリアアップはあまり期待できませんが、地方でも仕事の選択肢が豊富で、家事や育児とのバランスがとりやすい働き方です。
全国展開するチェーン店のパート・アルバイト
コンビニ、ファストフードショップ、ファミレスなどの大手チェーン店なら、仕事内容やマニュアルは全国共通。夫の転勤で引っ越しても、イチから覚えなおす必要がありません。接客業が中心なので、事務職などを希望している人の場合はなかなか難しいですが、シフト制が多く、家事や育児、プライベートと両立しやすいメリットがあります。
資格や専門性を生かした仕事
看護師や保育士、介護福祉士など、資格を生かした仕事は、全国どこででもニーズがあります。また、人事や広報など、企業の中で培った知識や経験も、その人のキャリアとして重宝されるもの。夫の転勤で引っ越したとしても、新しい土地で専門性を生かした仕事を繰り返せば、着実にキャリアが積み重ねられます。
在宅ワーク・自営の仕事
家事や育児の合間に自分のペースで働けるのが、在宅ワークの魅力。データ入力やライティングなどが人気です。クラウドソーシングサービスの充実でWEB上での仕事の受注ができるようになり、どこに住んでいても働くことが可能なので、転勤で引っ越したとしても、そのまま仕事を続けられます。ただし、案件ごとの単価にするとそれほど高いとは言えないので、ガッツリ稼ぐのは少し難しいかもしれません。
他にも、料理教室やネイルサロンなど、女性に人気のスキルや知識を生かして、自宅に教室・サロンを開くのもおすすめ。在宅ワークと同じく自分のペースで仕事ができるうえ、仕事を通して新しい土地に早くなじめる良さもあります。
ここまでいくつかの働き方を見てきましたが、ピンとくるものはあったでしょうか?もしご自身のライフスタイルにはどれもなじまない、ということでしたら、無理に働くことはないかもしれません。転妻にとって何より大事なのは、家庭を守ること、そしてご自身を守ることです。特に後者について、転妻は鬱になりやすいと言われており、そうしたメンタルケアについては、できれば旦那さんも交えて考えいく必要があるでしょう。まずは心の余裕ができてから、仕事だったり人付き合いを考えていけばよいのです。下記の記事などもご参照の上、決してご無理はなさらないよう…。
まとめ:転妻にこそ「気の持ちよう」が大事です
転妻の生活には必ずストレスが付いて回ります。これは避けられない事実です。しかし、そうした中でも人生をより楽しむためのコツはどこかしこに転がっていますので、それをいかにポジティブに探し出すかが、より満足度の高い人生を送るための秘訣と言えるでしょう。そのためにも、悩みは1人で抱え込まず、なるべく周囲の人たちと共有して解決策を探ってみてはいかがでしょうか。旦那さんはもちろんのこと、古くからの友人やご両親、さらには地域や全国のコミュニティなど、相談相手はたくさんいるはず。
各地の旅行や新しい友達作り、そして夫婦一丸となった新しい暮らしづくりなど、転勤生活にも楽しいことはたくさんあります。それらをなるべく多く見つけ出せるよう、自分の気持ちをポジティブに保ちつつ、素敵な生き方を見つけてください!