引っ越し業者に聞いた、2019年も #引っ越し難民 がなくならない3つの理由と3つの対策
2018年、メディアを騒がせた「引っ越し難民」というキーワード。その名の通り、引越しがしたくても引っ越し業者が手配できず途方にくれる人が続出しました。2017年からこの「引っ越し難民問題」を取り上げている弊社にも、様々なメディアから取材やお問合せを頂きました。
あれから一年。2019年、春のお引っ越しはどうなるのか。
11月あたりから、春のピーク期の対応についてたくさんの引越会社さんと打ち合わせを行っている弊社。もうタイトルでもお伝えしているように、今年も引っ越し難民になってしまう人は必ず出てくると予想しています・・・弊社も引越会社さんも。その理由をこれから一つずつご説明しましょう。
とその前に、2018年、2017年の状況を振り返りたい方はこちらをどうぞ。
さて、問題の2019年。『平成最後の引越し難民』が出てしまいそうな理由は3つあります。
引っ越し難民がなくならない理由その1:運送業界の労働環境の改善強化
昨年もお伝えしたことではありますが、ここ数年の運送業界、特に宅配サービスにおけるドライバーの労働環境がニュースでも取り上げられ話題になりました。大手宅配業者を筆頭に各社が、給与の見直し(それに伴う配達料金の値上げ)や、再配達のルールを変えて労働時間を短くするなどの企業努力をしています。
また、今年の4月より改正労働基準法が施行されるため、この労働時間に対する意識はさらに高まっています。公益社団法人全日本トラック協会も、昨年の平成30年3月にこの改正労働基準法に適用することを目的とした「トラック運送業界の働き方改革実現に向けたアクションプラン」を策定し、国土交通省へ報告しています。この春のピーク期においても、引越各社にはこのプランを遵守することが求められるでしょう。
※全日本トラック協会働き方改革特設ページ「トラック運送業界の働き方改革実現に向けたアクションプラン」より引用。
・・・とまあ、難しいことは置いておいて何が言いたいのかというと
今まで無理のある残業で対応件数を増やしていた引越会社が、無理をしなくなる
↓
業界全体で対応できる引っ越し件数(供給)が減る
ということです。
引っ越し難民がなくならない理由その2:ヤマトホームコンビニエンスの引越し受注中止
これが、2019年の最大ポイントだと思います。
昨年の夏、法人引越しに対する過大請求で問題になったヤマトホームコンビニエンス。その影響を受けて引越しの受注をストップし、2019年になってもまだ引越しサービスが再開されない状況です。(その時の詳しい様子はこちら→ヤマトホームコンビニエンスによる過大請求についてコメントしてみる。)
単身引越し・長距離引越しでの2大巨頭といえば、日本通運の「単身パック」とヤマトホームコンビニエンスの「単身引越サービス」。(ちなみに「単身パック」というサービス名は日本通運の商標登録です。)どちらも運送業と兼業している引越会社だからできる低価格かつ高品質なサービスで人気を博しています。特に春の引越しは、進学・就職・転勤による単身&長距離引越しが集中するシーズン。その二本柱の一つであるヤマトが受注できなくなったのです。
もちろん皆さんの予想通り、単身引越しの問い合わせは日通へ集中するでしょう。ところがこの春のピーク時、日本通運(というか大手引越会社のほとんど)は法人の引越し予約でほぼ満車状態なのです。引越し専業の引越会社でも単身向けの引越しサービスはありますが、この2社ほどの低価格で提供できる会社はほとんどありません。
日本通運に限らず、大手の引越会社は春の一番の稼ぎ時には法人引越しが最優先になります。
個人で引越しをしようと思っている学生さんや新社会人の皆さんのお引越しは後回しになってしまう可能性が高い、かつ予算も上げる必要が出てきます。
単身・長距離引越しを得意としていたヤマトが受注中止。日通も満車状態。
↓
低価格の引越しサービスがなくなり、予算オーバーで引越しができない人も
引っ越し難民がなくならない理由その3:ピークの長期化
ここ数年の引越し手配の難しさから、民間の一部企業では辞令や新卒の引越しを5月にずらす動きも見られます。また、個人の引越しも「なんとなく春は高そう」なイメージから「引越し難民が出るくらいヤバいの・・・?」という認識に少しずつ変わってきたのではないかと思っています。
「3月下旬の引越しの見積りを依頼したが、1社も見積りが出なかった」というのもピーク期の引越しあるあるです。そういう経験をした方々が少しずつ時期をずらし始めました。
ここで全日本トラック協会から出された2019年 引越し混雑予想カレンダーを見てみましょう。
出典:引越繁忙期 対策チラシ
出典:引越混雑予想カレンダー 2019年(全日本トラック協会)
黄色がやや混雑、茶色が混雑、赤がめちゃくちゃ混雑
・・・結局全部混雑しとるやないか~い!!
と言いたくなるような状況がゴールデンウィークまで続きます。たぶん。
法人・個人ともにピーク期を避ける傾向は少しずつ出てきている
↓
が、それ以上に供給が減る見込みのためピーク期が長期化する
日程をずらせどもずらせども引越しが手配できない・・・、そんな引越し難民の方が出てしまうかもしれません。3月~ゴールデンウィーク中のお引越しは、見積りが出ただけでラッキーと言える状況になりそうです。昨年の傾向では、GWの終盤が狙い目でした(依頼件数も落ち着いてきて、値下げ交渉も多少は可能な状態)。
2019年春、引っ越しが難しいエリアランキング
昨年もお知らせした地域別の「引越し難易度ランキング」。引越し手配の難易度が上がる要因として、「移動件数が多い地域」かつ「引越会社数が少ない地域」にその傾向が見られます。
2019年1月16日現在、まだ弊社の提携先引越会社さんからは受注ストップや見積りの受付ストップなどのご連絡はいただいておりません。が、昨年同様ここから徐々に引越しが出来なくなる『高難易度エリア』が出てくる見込みです。
参考までに、昨年の繁忙期の混雑状況の記事から抜粋しますね。
我々、株式会社リベロが独自で調べた厳しいエリア情報です。
基本的には、引越会社の社数が少ないエリア(地方部)は、厳しい状況になりがちです。難易度は当社が勝手に判断しています。10段階評価で、【10】が一番厳しいです。また、時期は全て繁忙期の4/10ごろまでを想定しています。
難易度【8】:北海道(札幌以外)
難易度【8】:宮崎県
難易度【8】:離島
難易度【7】:長野県
難易度【6】:北陸三県(石川、富山、福井)
難易度【6】:山梨県
難易度【6】:沖縄県
今後、厳しくなっていく地域は、
中部地方(依頼数が増える)
東北地方(引越し会社が少ない)
山陰地方(引越し会社が少ない)
と、予想しています。毎年中部と東北は慢性的に厳しい状況が続いているので、今年も例に漏れず厳しい状況が続くでしょう。
この内容は2018年の3月1日にアップしたものです。
その後もリアルタイムな状況をTwitterアカウントでもお知らせしてきました。
#引越し難民 のニュースが続いていますが、弊社調べの最新『引越し難しい地域ランキング』をお知らせいたします。
前回3/1の時と、少し状況が変わりました。
10段階での難易度なんですが、北海道は既に【10】なので、プラス家族引越し(難易度+2)や時間指定(+3)は、ほぼ不可能に近いかと…。 pic.twitter.com/lLiMOrSX7N— 引越しラクっとNAVI【公式】 (@hikkoshinavi) 2018年3月10日
また、そんな中でも急にスポっと空きが出てきて、受け入れが可能になったエリアもありました。
とうとう茨木県庁までも #引越し難民 になっちゃいましたね。
そんな中、最新の『引越し難しい地域ランキング』(弊社調べ)をお知らせいたします!
厳しいエリアは相変わらずですが、まだ『単身引越し』なら望みはあります!
提携引越会社さんに聞いてみたので、条件が合う方はあきらめないで~!! pic.twitter.com/7PXTDapWnP— 引越しラクっとNAVI【公式】 (@hikkoshinavi) 2018年3月21日
2019年も、できるだけリアルタイムに各社の状況・情報をお届けできればと思っています。
引っ越し難民にならない3つの方法
そして、毎年の繰り返しにはなってしまいますが、引っ越し難民にならないためには、
1:一日も早く見積もりを取る
引越し先の物件が明確に決まっていなくても見積もりは取れます。後日、物件が確定してから条件によっては見積り金額の追加料金が発生するケースはあります。が、物件が決まるまで見積りをせずに待っているよりは遥かにマシです。
2:スケジュールを引っ越し業者に合わせる
この時期は『時間指定はできない』と思っていた方が、心穏やかでいられます。日程も「どの日なら引越しできますか?」と聞くぐらいの方が手配できる可能性が高まります。
3:引っ越し業者を使わない方法も考えてみる
実家から出る引越しなど、大型の荷物がない・そもそも荷物が少ないような人は宅配便を利用した方が、手配もできますしコストを抑えられます。どうしても運びたい家具があれば、ピーク期を過ぎた5月中旬以降を狙えば、ピーク期の半額以下で手配できるケースも珍しくありません。
毎年毎年同じような注意喚起になってしまい非常に歯がゆい気持ちですが、この状況を改善するには根本的な部分が変わらないと難しいと思います。
とはいえ、そこで諦めずに弊社も提携している引越会社さんとのネットワークを活かして、この状況を改善するために弊社でもできること、弊社だからできることを追求していきます。
ちょっとかっこいい終わり方になってしまいましたが、一人でも多くの方が無事に引越しができることを本気で願っています。
それでは、また。