マンションの消防設備点検を断ったらどうなる?頻度と内容は?

マンションの消防設備点検を断ったらどうなる?頻度と内容は?

マンションなどの集合住宅には、 様々な種類の機械が設置されており、故障やトラブルを防止するため、それぞれ一定の周期で点検が実施されています。

そのうち、エレベーターなどの公共設備は管理会社が手配して点検を実施するため、居住者としては特に意識する必要はありませんが、この記事で解説する消防設備点検などは住戸部分の設備も関わるため、作業員が室内に立ち入る必要があります。

最近は単身世帯や共働き世帯の増加で不在がちの家が多く、平日の日中の点検にはなかなか立ち会えないのも実情ですが、本記事ではその点検内容や、立ち合い義務のありなしなどについて、詳しく見ていきます。

引っ越し見積もり料金 簡易シミュレーション

  • 1引っ越し時期
  • 2移動距離
  • 3引っ越し人数
\
平均
 円
最安値
 円
最高値
 円
  • ※引越しラクっとNAVI ® の実際の引っ越しデータから算出しています。
    期間:2017年1月~2019年6月実績
  • ※引越し見積もり料金や、実際の引越し料金を保証するものではありません。
    お引っ越しの際には、見積もり取得をお願いします。

消防用設備点検とは

まず初めに消防法では、以下のように消防用設備点検報告の義務が定められています( 第十七条の三の三)。

第十七条第一項の防火対象物(政令で定めるものを除く。)の関係者は、当該防火対象物における消防用設備等又は特殊消防用設備等(第八条の二の二第一項の防火対象物にあつては、消防用設備等又は特殊消防用設備等の機能)について、総務省令で定めるところにより、定期に、当該防火対象物のうち政令で定めるものにあつては消防設備士免状の交付を受けている者又は総務省令で定める資格を有する者に点検させ、その他のものにあつては自ら点検し、その結果を消防長又は消防署長に報告しなければならない。

https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=323AC1000000186#F

これはビルやマンションなどの建物で、消火器やスプリンクラー設備、自動火災報知設備などの消防用設備が火災の際に正常に作動しないと人命にかかわることから、定期的に点検し、管轄する消防署へ報告する制度です。

消防用設備点検には、6カ月ごとに行う機器点検と、年1回行う総合点検があり、点検結果は、集合住宅の場合、3年ごとに管轄の消防署に報告するよう定められています。

点検義務を負うのは、対象となる建物の関係者です。関係者とは、所有者、管理者、占有者を指します。実際には、分譲マンションでは管理組合、賃貸マンションではオーナーが主体となって、民間業者に委託して点検を行うのが一般的です。

消防点検は誰が行うの?

点検は消防署の職員が直接行うわけではありません。ごく小規模のビルでは建物の防火管理者が点検を行うことも認められていますが、一般的なマンションの場合、上記の通り消防設備士などの資格を持つ民間業者が、管理組合などから依頼を受けて点検を行い、結果を消防署に報告することになります。

消防設備士について|一般財団法人消防試験研究センター

消防点検の対象・内容とは

機器点検では、設備の配置や損傷の有無を外観からチェックしたり、簡易な操作で判断できる事項を確認します。

一方、総合点検は、設備を実際に作動させたりして異常がないか確認するものです。点検が必要な消防設備は、消火器や屋内消火栓、非常ベル、自動火災報知設備、スプリンクラー、誘導灯などです。

マンションで点検が必要な主な設備

  • 自動火災報知設備
  • 消火器
  • 屋内消火栓
  • 避難器具
  • 非常ベル
  • スプリンクラー
  • 誘導灯

これらのうち、居室内で行われるのは、自動火災報知設備の点検が中心です。ベランダに避難用はしごなどが設置されている場合は、これも点検対象になりますが、問題がなければおよそ5分から10分で点検が終了します。

自動火災報知設備

自動火災報知設備は、居室内の天井に感知器、管理人室などに受信機が設置されており、感知器が煙や熱を感知すると、管理人室で異常箇所が表示されると共に、館内に警報が鳴る仕組みです。

点検の流れとしては、 熱源が入っている装置を棒の先に取り付け、天井の報知機に押し当てることで火災報知機を発報させます。

このとき、管理員室には別の作業員が待機しており、無線機や携帯電話で連絡を取り合いながら、感知器が正常に作動するか、受信機が問題なく受信できるか、警報が正常に鳴るかどうかをチェックします。

避難はしご

ベランダなどに避難はしごがある場合は、これも点検対象となります。主な点検内容は以下の通りです。

・避難器具ハッチを操作する際に周辺に支障が有る物は無いか?

・はしごを降下させる空間や降下位置に障害となる物が無いか?

・はしごの巻上げ・降下の機能に異常は無いか?

・ハッチの上蓋、下蓋、本体などに著しい錆や腐食は無いか?

・ハッチの標識、使用方法の表示に問題無いか?

消火器

消防設備と言えば真っ先に思い浮かぶ消火器ですが、マンションの消防設備として設置されたものが点検対象で、これは共用部の廊下などに大型の物が設置されているのが一般的です。個人的に購入した住宅用消火器(小型消火器)は対象になりません。

住宅用消火器|住宅防火関係 住宅用火災警報器を設置しましょう!|消防庁予防課

あわせて読みたい!

居室内の点検に立ち会えないとどうなる?

集合住宅の消防用設備点検の日程は、事前に管理事務所などを通じて告知されます。しかし最近は単身世帯や共働き世帯が多くなり、検査日時が平日の日中である場合は不在にしている住人も多いため、一度の定期点検で全戸の点検を完了するのはなかなか難しいようです。

中には、部屋が散らかっているために入室を嫌がったり、1人暮らしの女性の場合は見知らぬ男性に入室されることに抵抗のある人もいたりして、居留守を使う、というケースもあるようです。

罰則の有無や不在点検について

このように消防点検の日に「都合がつかずに立ち会えない」場合について、 居住者にとって点検への参加は「努力義務」ですので、居住者自身に特に罰則はありません

また居住者不在時の立ち入り検査についてですが、これは入居している物件によって様々です。賃貸契約を結ぶ際、消防などの点検時に不在の場合に事前告知のもと入室することに同意しているケースでは、管理会社か管理人が立会して点検業者が入ることがあります。

この場合は消防設備点検のお知らせに「ご不在の場合は管理会社立会いのもと、
合鍵を使用して入室点検をさせて頂きたいと思います」などの記載があります。

一方で管理会社によっては、消防点検時に『半分入室出来たらOK』や『80%入室出来たらOK』等の基準を定めているところもあり、この場合は全体で指定した率以上の点検が出来ていれば入室点検は行われません。

賃貸契約の内容によっては、居住者不在でも立会検査が行われる可能性がある、という点はぜひ念頭に置いておくべきかと思います。

点検のための立ち入りを拒否すると規約違反になることも

不在時に勝手に部屋に入られることがないとしても、消防点検を毎回無視してしまおうと考えるのは問題です。というのも、設備の故障や老朽化など、安全面の問題も当然ありますが、加えて入居規約の違反になることもあるためです。

国土交通省が定めたモデル管理規約であるマンション標準管理規約には、「管理を行う者は、管理を行うために必要な範囲内において、他の者が管理する専有部分又は専用使用部分への立入りを請求でき、請求された者は正当な理由がなければこれを拒否してはならない」(23条)と規定されています。

マンション標準管理規約

入居しているマンションにこのような規約条項がある場合、消防用設備点検のための居室内への立ち入りを拒否すると、規約違反となる可能性があります。

点検を拒んだことで火災被害が広がると賠償責任が発生する可能性も

さらにもし失火により火災を起こしてしまい、被害が他の住戸に及んだ場合、しかし、定期点検を拒んだために消防用設備の不備が放置され、これが原因で火災の被害が他の住戸に広がったような場合は不法行為になる可能性があり、損害賠償保険の対象にならないこともあります。

また、直接損害賠償の請求を受けたり、保険会社から保険会社が支払った損害賠償金の請求を受ける可能性がありますので、十分注意してください。

消防用設備点検で不備が見つかったら

消防用設備点検の結果、たとえば居室内の感知器が正常に作動しなかったなど、不良箇所が見つかった場合には、改修をする必要があります。

分譲マンションであれば、点検結果は業者から管理組合にも報告されるので、管理組合と話し合って適切な措置をとってもらうようにしましょう。

点検を装った悪質商法に注意

なお、消防用設備点検を装った悪質な訪問販売も横行して問題になっています。「消防署の方から来た」などと言って家庭を訪問し、「消火器の使用期限が過ぎている」といった文言で消火器を売りつける手口です。とくに1人暮らしのお年寄りが狙われることが多いようです。

戸建て住宅の場合は消防用設備点検の制度自体が存在しませんし、集合住宅の消防用設備点検の場合も、事前に管理事務所や管理組合から日時の告知があるはずで、いきなり訪問してくることはありません。

また、消防用設備点検は、資格を持つ民間業者が集合住宅のオーナーや管理組合の依頼を受けて行うもので、消防署の職員が頼んでもいないのに直接点検に来ることなど、絶対にあり得ません。

そもそも一般の家庭では、消火器の設置は消防署から推奨はされているものの、法令上の義務ではありませんし、消火器には使用期限なども定められていません。

老朽化した消火器には、正常に作動しなかったり、破裂などの危険があったりするのは事実ですが、消火器の寿命は製造から10年程度とされており、1年や2年で交換しなくてはならないものではありません。

怪しいと思ったら身元確認を

怪しいと思ったら身分証明書の提示を求めるとともに、脅迫的な言動などがあれば、すぐに警察に通報しましょう。また万一被害に遭ってしまった場合も、8日以内であればクーリングオフと言って無条件で購入を取り消し、返金を求めることができるので、最寄りの消費生活センターに相談すれば、業者との間に入って解決をあっせんしてくれることがあります。

まとめ:消防設備点検にはなるべく協力を

ここまで消防設備点検について詳しく見てきましたが、大事なポイントは3つ。

・消防設備点検を受けなくても、入居者には罰則はない

・賃貸契約の内容次第では、居住者不在でも入室検査が行われる

・検査を拒否し続けると、賠償責任などが発生する可能性もある

検査自体は10分以内で完了しますので、よほどの事情がない限りは、点検に協力するほうがスマートかと思いますので、ぜひご一考ください。

引っ越し一括見積もり(無料)
著者投稿者 引越しラクっとNAVI編集部
ページトップ
申込フォームへ